発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

2026-01-01から1年間の記事一覧

Q.長年の指導経験から得られた、受講生の変化や関係性のあり方とは、どういったものですか。

A.約十年の歳月を経れば人の可能性は見えてきます。多くの受講生が普通の生活の中で学び、修了後も会報を通じて繋がっている経験が私の根幹です。ここは特別な場ではなく、転職や転勤など人生の節目を迎えつつも、それぞれの歩みの中で学びが息づいていま…

Q.現場で今日すぐに結果を出してほしいと求められた際、トレーナーはどう対応すべきですか。

A.トレーニングというプロセスには、必ず結果が出るまでの時差が存在します。しかし、現場では即効性が求められます。この矛盾に直面したとき、私たちは根本的な改革ではなく、リラックスや呼吸の調整を中心とした即時的なメンテナンスに切り替えます。 喉…

Q.自己流の方が楽で速い気がしますが、それでもフォームを直すべきですか。

A.スポーツと同じで、自己流で泳ぐ方が最初は速いかもしれませんが、すぐに限界が来ます。正しいフォームを教わると、最初はそれを維持する筋力が伴わないため、一時的にスピードは落ち、疲れやすくなります。しかし、これを時差として受け入れなければな…

Q.トレーニングによる不自然さを、どう解消すればいいですか。

A.トレーニングでは特定の筋肉を意識的に強化するため、一時的に表現のバランスが崩れることがあります。この身体に馴染んでいない状態で本番に臨むと、周囲からは不自然だと評価されてしまいます。歌や表現において最も重要なのは全体のバランスです。そ…

Q.ヴォイストレーニングを受けてから、逆に声が出しにくくなったと感じるのですが、なぜでしょうか。

A.トレーニングの過程では、一時的に声が不自然になったり、バランスが崩れたりする時期が必ずあります。これは、それまで染み付いていた自己流の発声を一度見直し、正しいフォームへ移行しようとする過程で生じるギャップです。 大きな変化を目指すほど、…

Q.声をキンキンと響かせて歌っている人は、好きではありません。声はどうして響かすのでしょうか。

A. 声も、声帯だけでは、喉頭原音と呼ばれる、鈍い音にすぎません。これが響いて、話し声や歌う声となるのです。響くことは、声を伝えるときには、なくてはならないものです。 音は空気中を伝染するのですから、声の響かせ方は、重要な要素となります。声量…

Q.プロの中にはトレーニングを否定する人もいますが、実際はどうなのですか。

A.自然に歌えてしまう人は、トレーニングを不自然なものとして否定しがちです。しかし、それは単なる見方の違いや偏見に過ぎません。間違った練習で声を荒らしてしまった経験を持つ人もいれば、トレーニングなしで成功している人もいます。しかし、一人で…

Q.トレーニングに来る人は、歌ができない人ばかりなのですか。

A.いいえ、むしろわからない何かが足りない自分はまだできていないという高い意識を持つ人ほど、上達の可能性を求めて門を叩きます。こうした疑問を持ち続けられる限り、成長は止まりません。逆に、適当にうまく歌えて満足してしまえば、そこがその人の限…

Q.独学で歌えるタイプは、どのように成長するのがよいのですか。

A.努力せずとも自然にプロレベルまで歌えてしまう人は確かに存在しますが、極めて希少なタイプです。まずは自分がその天然タイプなのか、努力が必要なタイプなのかを冷静に判断する必要があります。もし天才肌であれば、優れた先人を模倣することで道が開…

Q.年齢とともに声が出なくなるのは、避けられない運命ですか。

A.20歳をピークに肉体的な最良の状態が失われていくのは自然なことです。若い頃は蚊に刺されてもすぐ治ったのが、歳をとると治りが遅くなるように、声帯の免疫力や回復力も確実に落ちていきます。30代では平気だった酒やタバコが、40代では毒になることも…

Q.不摂生をしても美声を保つ人がいるのは、どういうことでしょうか。

A.確かに、タバコやお酒を嗜んでいても驚くほど綺麗な声を出す人は実在します。教科書通りの管理がすべてではなく、最終的には個人の体質や価値観の問題です。中には、酒を飲まなければ表現としての声が作れないという人もいるでしょうし、本人が健康に関…

Q.地方や海外の公演において、プロに求められる適応力とはなんですか。

A.地方や海外へ行けば、宿泊施設の環境や空気、食事など、状況はさらに悪化することが珍しくありません。昔のアスリートが遠征先で枕が変わると寝られないようでは通用しなかったのと同様、歌手も恵まれすぎた環境に甘んじていては活動の幅が狭まります。…

Q.ライブ中の極度な乾燥に、喉はどう対抗すべきですか。

A.ステージやスタジオは、照明の熱や空調の影響で想像以上に乾燥しています。水を飲んでも喉がすぐにカラカラになるような過酷な状況です。これに対処するには、日頃の練習から乾燥した状態に喉を慣らしておく必要があります。潤った環境でしか声が出せな…

Q.理想的な環境で練習することに落とし穴はありますか。

A.加湿器を置いて湿度50〜60%に保った環境で練習するのが、喉には一番です。しかし、そこでの練習だけに慣れきってしまうと、実際のステージで対応できなくなるリスクがあります。実際の現場は工事現場のような悪環境や、予期せぬ乾燥に見舞われることが多…

Q.喉の強さの正体とは何でしょうか。

A.私自身、40代になってからタバコの煙に敏感になり、自分の喉が弱くなったと実感しました。しかし、強さには別の側面もあります。たとえばインドなどの過酷な環境では、砂埃の中で何時間も歌い喋り続けても平気な人々がいます。彼らの強靭さは、日々の過…

Q.タバコとお酒は、具体的にどう喉に悪影響を及ぼすのですか。

A.タバコは肺を直接傷めるため、呼吸器を楽器とする歌手にとっては明白な害です。お酒に関しては個人差がありますが、アルコールが喉を乾燥させることは事実です。喉の粘膜が乾燥した状態で声を出すことは、声帯を傷つける大きなリスクになります。お酒で…

Q.英語以外の言語で歌う場合、どのような点に注意が必要ですか。

A.イタリア語やフランス語などで歌おうとすると、それを理解する聞き手の耳は非常に厳しくなります。言葉の響きが素質によるものか、後天的に修正可能なものかはヴォーカリストにとって大きなテーマです。幼少期なら直せても、大人になってからでは困難を…

Q.若さとパワーによる歌唱の落とし穴はどこにありますか。

A.若い頃は声の勢いとパワーだけでステージを成立させることができ、それが高い評価に繋がることも多いです。しかし勢いに頼りすぎると、細かい音楽性や発音の甘さ、たどたどしさが放置されがちです。昔は英語がカタカナ発音でも、聞き手が判断できなかっ…

Q.楽器演奏の経験がある歌い手には、どのような利点がありますか。

A.楽器出身のヴォーカリストは、音楽的基礎がしっかりしているため、ピッチやリズムが非常に安定しています。たとえ大きな声を出さなくても、マイクの特性を活かして無難に、かつ高い完成度で歌いこなす人が多いのが特徴です。また、英語の歌などで発音が…

Q.プロのミュージシャンから見て、日本のヴォーカルには何が不足しているのでしょうか。

A.楽器のプレーヤーや作曲家、あるいは外国人ミュージシャンから見ると、日本の歌い手はピッチとリズム感が甘いと指摘されることが多々あります。楽器奏者にとってピッチとリズムは命であり、それができて当たり前の世界です。 一方、ヴォーカルは音楽的な…

Q.日本のライブのお客さんは、パフォーマンスのどこを一番厳しく見ていますか。

A.一般的な日本の聴衆は、リズムの細かなズレには比較的寛容ですが、その分歌詞に対しては非常に厳しい目を持っています。言葉がはっきりと聞こえる歌い手は評価されやすく、逆に歌詞が聞き取れないと、聴衆の興味は半減してしまいます。高い音を出す場面…

Q.ライブで自分のパフォーマンスを最大限に引き出すために意識すべきことはなんですか。

A.ライブは自分の世界を表現する場ですから、自分が最も歌いやすいようにキーやテンポを調整すべきです。特に作品としての音源とは異なり、ライブではその瞬間の完成度が問われます。幸い、日本のお客さんはアーティストに対して優しく、ピッチやリズムの…

Q.大人になってからでも、苦手な音程を取れるようになりますか。

A.幼少期から歌っていれば自然と身につきますが、大人になると半音3つの連続ですら苦労する人がいます。5年、10年と続けても新しい曲になると迷うケースもあり、そこには天性の勘のような要素も否定できません。半音4つの移動などは、訓練していない人には…

Q.リズム感やピッチを確実に身につけるための具体的な方法はありますか。

A.リズムをとるには、あらゆるリズムパターンを聞きながら、それらをすべて自分で歌いこなすという数の練習が不可欠です。徹底的に身体に叩き込めば、だんだんと感覚が掴めるようになります。心地よいリズムを生み出せるかどうかには個人差がありますが、…

Q.日本語の歌が世界中で歌われるようになった現状をどう見ていますか。

A.アニメ文化の影響力には目を見張るものがあります。かつて昭和の日本人が欧米のロックやポップスをまねし、いつか追いつきたいと願っていた時代からすれば、世界中の人々が日本語で歌っている今の状況は想像もできなかったでしょう。あんな風に声を出し…

Q.日本でオリジナリティが評価されにくいのは、なぜですか。

A.日本の音楽シーンでは、古くからの基準や型が重視される傾向があり、真の意味でのオリジナリティが正当に評価されるのは容易ではありません。しかし、強みがあるならそこを徹底的に磨くといった、特定の個性を強みに変えると、作品としての可能性を大き…

Q.プロを目指す上で、歌のうまさよりも大切なことは何ですか。

A.多くの人は歌がうまくなりたいと考え、プロの歌い方を模倣しようとします。プロをめざすなら、レパートリーを広げることよりも独自の世界観を確立することの方が重要です。 たとえば、自分では欠点だと思っている低い声が希少であれば、それを徹底的に活…

Q.昔と比べて、現代の歌手の喉の管理環境はどう変わりましたか。

A.喉の管理は、昔より格段に健全化しています。かつては徹夜で歌い、酔った状態でステージに立つような無茶も珍しくありませんでしたが、今は喉に違和感があれば音声クリニックを受診し、適切な治療と休息をとる知識が浸透しています。医学的なサポート体…

Q.今の声優やアーティストの歌い方は、喉にとって危険なものなのでしょうか。

A.現代の歌い手には、トレーナーの視点から見ると、危うい発声をしている人が少なくありません。かつてならツアー中に喉を壊して脱落していたような無理な出し方でも、不思議と喉を壊さずに世界を回れているケースもあり、昔の常識では測れない部分が出て…

Q.海外のロックスターが60~70代でもパワフルに歌えるのは、日本人と何が違うのですか。

A.世界的な歌手は、若い頃よりもストイックで節制された生活を送っていることが多いです。昔の不摂生なスタイルのままでは、声がもたないことを、彼らは知っているのです。そういうなかで選ばれてきたからです。第一に地力の違いです。 日本の文化にはカワ…