こういう世界というのは先にできてしまうものです。ことばもできてからわかるのです。だから、できていないということはわかっていないということです。そこで格闘しない限り進みません。その使い方では「できる」ということと「わかる」ということは違い、「わかった」から「できる」というのではないのです。どこかで見えていなくてはいけないのですが、皆がいっているような「わかる」「わからない」というようなことではないです。瞬間的にサッと見えているところで取り出せないという方向でやらないと、息が身について、声が身について、そして歌が身につく、というような順にはならないはずです。
伝える努力をしなさいといつもいっています。その世界に入ることから、取り出すことをきちんとすることです。そうしたら音程やリズムやメロディが気にならないはずです。こういうことができてしまっても間違うというのは、根本的な感覚が違っているからです。舞台でやらないことを想定したらトレーニングもやらない方がよいということです。