人に聞くのではなく、自分で感じられないといけません。感じられないとしたら、それは出ていないのか、感じる心がないからです。ヴォーカルというのは、自分で決めていく仕事です。自分で判断していきます。ただ、少し補助できるというところをやっています。適切な材料で気づきやすくしています。そういうやり方だけでは、少なくともポップスでは出てきません。24時間自分と一緒にいるのは、自分しかないのです。
自分でやったことがなにかをきちんと読んでいかないといけません。「先生、これどうですか」という前に、まず、自分で自分の声がどういう感覚で、どういう呼吸が出ているのかです。どう表現すれば相手に伝わるのか。それを探っていくには、表現するときに開き直って、間違っていてもよいから、前に出していくことです。そうでないと自分のなかで、あっている、あっていないかがわかりません。よくないのは、正しく合わせようとしてしまうことです。表現のパワーをひいてまとめては対応できないと思います。