まず、声を伸ばすことですが、その必要性を疑う、考えることからです。歌の中で、声を伸ばす必要があるところを探してみましょう。案外と少ないことに気づくはずです。プロは歯切れよくことばを切って歌っています。その中で、要所だけ計算して、効果的に声を伸ばしています。どこもかしこも伸ばしてしまうと、歌にしまりがなくなります。特に日本の歌は、語尾の一音をやたらと伸ばし、“歌らしく”します。惰性になりかねません。
本当はもっとフレーズの前半部で、追い込み、強調して解放し、自由度を与えておくことが必要なのです。ですから、最初は声を伸ばすことよりも、リズミカルにグルーヴ（のり）で、言葉で言い切って歌うことです。その上で歌いあげ、伸ばしたら効果のあがるところを厳選してください。
