どれだけきめ細やかに繊細に見ていくかということです。たとえば一流のピアニストはそれが見えると思うのです。ところがヴォーカルは一人ひとり声が違うし、言葉がついているから、それでいいとなりやすい。この辺が楽器の人は、音楽的にはアドバイスできるのですが、ヴォーカルに関してアドバイスしにくいところです。
プレーヤーは非常に高いレベルでやっています。なぜそれで許すのかといったら、他にいないというよりもわからないところがあると思うのです。お客さんを説得していたら、音の世界をとばしてみてしまう場合も多い。だからセッションでは、ベースとギターの掛け合いとか、トランペットとギターの掛け合いとかをやるわけでしょう。あれと同じようにヴォーカルが入るというのは、本当は音楽の世界としては別々のものです。