A.歌は他人の歌い方にあこがれて入ってきます。おのずとその線に目的を持っている人が多いです。そこでギャップが出てきます。自分の声は嫌いだけど、あのように歌いたい、そうなったときの判断は自分では難しいのです。
自分の声の延長上で、歌になっていくということは最初は違和感もあることです。自分の声に慣れてないし、何よりも新しいものや、その人らしいものが出てきたときは、それまでなかったものなので、違和感を感じて当然です。本人だけでなく周りもそうです。
そこで、必ず矛盾が起きてきます。周りの人やバンドの人はおかしい、よくないといいます。しかし、それが一番扱いやすく、可能性があるなら、伝わる力があるなら、オリジナリティと考えてもよいでしょう。
日本の場合、基準が甘いので、本当に自分の延長上でなければ勝負できないとはいいません。むしろ他のものに合わせてしまった方が、早くうまくなってきたとか、プロっぽいといわれます。自分サイドに創っていくもののほうが、本人がよっぽどきっちりとしていないとわかりにくいです。ですから、そこで他をつっぱねる自分の見識が必要です。しかし、教える場の多くはそれを否定しがちです。確実、安全な上達をめざさせるから、そこで可能性も閉ざされます。トレーナーにつくのはよいのですが、もっとも注意すべき点です。