A.私の声がとてもよく出るときの、首から上の感覚と声の感じ方について述べたいと思います。まず、舌の感覚としては舌の表面が上あごに引き込まれていくような感覚になります。上あごと舌の間の空間に空気が流れている実感がとてもあります。そのような状態になると、声は自分の体をすぐに離れていきます。
昔、プロ野球のスピード記録を保持していた伊良部投手が言った言葉がありますが、「調子がいいときは、ボールを投げた瞬間に、気がついたらもうホームベースにボールがあった」という言葉です。マイクを使わないオペラの場合ですが、本当に調子がいいときはどんなに大きなホールでも、自分の声が気がついたら客席の一番奥にあるような感覚になります。このときの口の中の状態は、力が抜けて舌が空気によって引っ張られているような感覚になります。舌を意識的に動かすのではなくて、動かされている感覚になります。(♭∀)