発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q2992.現在と昔のヴォイストレーニングは違うのですか。

A.「お腹から大きな声を出して」といった種類のことばは今も昔もヴォイストレーニングや劇団の発声練習などでよく使われていることばです。
このやり方は声を出す訓練の他にも、日本人特有の人前で大きな声を出すことに対する「恥ずかしさ」などの精神的な訓練の意味合いも含まれていると思います。
ですからこのやり方を一概に否定はできないと思います。やらないよりはやったほうがよいです。
しかし、現在の特に若い方にこのやり方が向いているかといわれると疑問が残ります。一昔前ならば10人いたら5、6人はこのやり方で声が出しやすくなったり良い方向へ向かっていったのですが、最近では8割程度の方は喉を壊したり、出し辛くなったり、ハスキーになったりする傾向があります。
生活環境の違いからくるものなのか、聞いている音楽やことばのせいなのかわかりませんが「声の力」といった意味では落ちていると言わざるを得ません。現在、巷にあふれている音楽はとてもメロディといったものが無く、よいと思える作品が失われていっています。だからこそ昔のカヴァーアルバムなどが売れているのでしょう。
しかしカヴァーアルバムが売れているということはまだ希望が持てる証拠ではないでしょうか。皆が飢えている証拠だともいえます。しっかりとした声を磨きそれに見合うだけの曲をどんどん歌っていくことが上達への道だと思います。(♭Σ)