A.他人の評価については、常に人前で歌っているのであれば、気にしないほうが難しいとは思うのですが、所詮は他人の評価なのです。感情的になってしまう部分は忘れてしまうことです。他人のことばで傷ついていても、いいことは一つもないからです。また参考になるべきことは冷静に受け入れていき、そこを克服していくためのメニュを考えていくことです。客観的に、建設的に考えていくことで、他人からの意見もすべて自分の糧にすることができます。
劇団などでは、練習後にダメ出しと称して、演出家等からひとりひとりアドバイスを受けます。この際に、自分の人格をも否定されてしまうダメ出しを受けることもありますが、そういうときこそ、自分の人格や性格ではなく、役に対してのアドバイスなんだと冷静になって、素直に聞くことが大切なのです。冷静に聞くことができれば、冷静に対処することもできます。
トレーナーであっても、よくなってほしいという思いから、ことばがきつくなってしまうこともあるかと思うのですが、そのアドバイスを受ける側は、冷静に聞かなくてはいけません。そのことばの表面的なことではなく、裏に隠された意味というものを読み取っていこうとすることです。あくまで参考意見としてとらえて、では今後どのように進めていったらいいのかということを、自分自身で考えていくのです。自分で主体的に動いていくことが一番大切なのであって、他人の評価もアドバイスも、その参考材料なのです。何かを吸収しようという貪欲な気持ちでいることが、他人の評価に惑わされず、アドバイスにも傷つかない方法です。
また自分との戦いなんだということを、いつも心に留めておきましょう。自分がいかに向上していけるのか、昨日に比べて成長できたか、この部分が勝負なわけです。この部分を厳しく突き詰めていけば、人のことばは優しく聞こえてくるはずです。