発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3023.声楽はロックに役に立ちますか。

A.これからご紹介するお話はロックをやりたい人に、とても興味深いことだと思いますが、1980年代に世界進出したハードロックへヴィメタルバンドの草分け「ラウドネス」のヴォーカルに二井原実という人の話です。かれはデビュー当時、高いソの音(一般的にクラシックのテノールが出す最高音のハイCよりもさらに高いソ)まで出るハイトーンヴォーカルを売りにしていましたが、度重なるツアーによって、その声を失ったそうです。最後には、オクターブ下のソもでなくなってしまったとのことです。現在、二井原は、再び再結成したラウドネスのヴォーカルとして堂々とステージ中央で存在感を発揮していますが、声を取り戻すためにありとあらゆる発声本を読み漁り、発声をキチガイになるまで試す日々を繰り返したそうです。その結果、たどり着いた方法が「ベルカント唱法」だったそうです。ベルカントの取り入れることによって、喉声がいかに声に危険かということをわかったそうです。
彼の現在の発声法スタイルとしては、「ロックをすべてベルカントで歌ってしまうと、ロックのもつソウルフルな表現を殺してしまうこともある。だから喉声も必要だが、基本となる発声はベルカントで添えておいて必要に応じて喉声を負担がない程度で取り出す」というスタイルをとっているそうです。声楽家から発声を習う上では、とても参考になるものだと思います。(♭∀)