発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3206.「発声していて声がひっくり返ったり、引っかかった感じになることがよくあります。どうすればトレーナーの先生のようにまっすぐ声が出るようになりますか。」

A.何も準備をしないでいきなり声を出して「歌おう」とすると誰でも体がついていきません。まず自分のペースで軽くストレッチをして体を起こしていきます。これは朝でも夕方でもまずトレーニングの前の習慣として心がけていきます。睡眠はしっかり取れているでしょうか。前の日にたくさん声を使えば、次の日の朝は声が出にくいことがあると思いますが、レッスンの前にはコンディションを十分に整えて臨みましょう。
 ストレッチをすると声が弾んできます。体が少し汗ばむ、階段を上り下りしたときのような感覚を思い出してトレーニングに取り入れてみてください。
 次にハミングを喉のまわりを優しく潤す感覚で軽く出していきます。この時点で引っかかるようでしたら、トレーナーに質問してみてください。
ストレッチをして体と喉の周りがほぐれてきた状態で発声して声が引っかかるというのは、「息の流れ」が止まっている、もしくは足りないのが大きな原因と考えられます。
長距離を走った後や登山をしたとき、自然と話し声が大きくなる経験をしたことがあると思います。これは普段使う以上に肺に空気が入り勢いよく息が「ハァハァ」というより「ハッハッ」と出るからです。息と一緒に声も大きくなります。この時は特別意識していなくても体から声が出ているので喉は痛くなりませんね。ただ結構体の筋肉を使って疲れた!という実感が残ると思います。ヴォイス・トレーニングでも普段からこれくらい集中して体から声が出たという実感をつかみたいところです。イタリアではCantare sul fiato.という言い方があります。日本語に訳すと「息の上で歌う」ということです。常に声が息に乗って前方遠くに運ばれるように歌ってみましょう。