A.ロシア人の低音歌手と、イタリア人のて低音歌手を聴き比べるとわかると思いますが(様々な歌手がいますので、全体的な印象)、喉の構造ではおそらくロシア人に軍配が上がるように思います。しかし、一流になりきれないロシア人歌手をよく聴くと、低音は充実した立派な声なのに対して、中間音から高音に差し掛かるあたり(パッサッジョのあたり)で音が急に痩せるような印象があります。そして、高音域では喉が詰まってしまう方向にいく歌手が多いようです。対して、イタリア人歌手は、低音域の充実度ではロシア人ほどのものはありませんが、パッサッジョから高音域にかけて音の質が余り変わらずに、高音もよく支えられた声になります。もちろん一概に言えませんが、(ロシア人歌手でも素晴らしいパッサッジョをする歌手もいますし、イタリア人でもうまくパッサーレできない歌手はいます)
音域の広い難曲になればなるほど、イタリア人歌手の方が素晴らしく歌う気がします。ただ、ロシア正教会音楽の超低音のみを駆使する音楽は、やはりロシア人にしかできないものかもしれません。
一番良いのは、ロシア人のような素材をもっていながらイタリア人のような高音から低音まで滑らかな声ですが、そのような歌手は恐らく半世紀に一人ほどのような気がします。それだけ声楽の世界もとても奥が深いジャンルなのかもしれません。 (♭∀)