A.若い頃は軽い声で歌い、徐々にドラマティックな声に移行していくこと。これは、ルチアーノ・パヴァロッティ、エンリーコ・カルーソもそうです。やはり、若い頃にプロフォンドな(深い)音色を求めることは手順が違うということです。深い響きとは決して焦って求めてはなりません。長い間歌ってきてトレーニングされた蓄積が、深い音色を生むものだと思います。
ヴァイオリンやチェロもそうです。生まれたてのヴァイオリンの音色は、やはり軽いものです。年月を重ねることによって味わい深い音色が出てきます。
特に、若い人は、熟年した歌手の真似は禁物です。加えて、声帯やその周辺筋肉も多少年を重ねることにより変化します。変声期が高校生頃には大体終わっていますが、一般的に高校生の声と30代の声は違います。同様に、20代の声と50代の声も違います。変声期が完全に終わるのは20代後半といわれますが、変声期後も声は老化をふくめ変化するものです。
初歩段階で焦って作った深い声の特徴は、母音の音色が暗く聴こえます。イとエの母音の色が特に出ません。そして、声の抜けが悪いため、音が散ってしまいます。マイクの乗りも悪いでしょう。
(♭∀)