発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3443.花粉症対策についてアドバイスしていただけますか?

A.今や広く知れわたっている花粉症ですが、死にいたる病ではないためか、なかなかその根本的な治療法が確立されないまま、またその代表的な存在である杉花粉の飛散時期を、今年もむかえています。声を仕事に使う人々にとって、これほどやっかいな病気はないでしょう。一度発症すれば、ほとんど完治せず(完治したという話も、まれに伺いますが、一般的にはあまり役には立たないことが多いようです)、毎年同じ時期にほとんど必ず辛い日々を、長ければ数ヶ月続けなければなりません。病院通いをしなければ、確実に声のパフォーマンス能力は低下し、通常の演奏・演技を維持するのは、宝くじを当てるよりも困難になってしまいます。
では、具体的に、どんな対処方がよいのでしょうか。サプリや民間療法、処方薬とさまざまな対処方が上げられていますが、やはり、処方薬に頼るのが、もっとも声のパフォーマンスを保つためには、有効のようです。現在主流の抗アレルギー剤が登場する以前は、抗ヒスタミン剤が主流だったために、喉や声帯の粘膜が副作用で乾燥し、あっというまに声を傷めてしまうという悲劇的な状況でした。そのために、私も、さまざまなサプリや民間療法を試してみました。ほとんどのものは、気休めのようにしか効かない気がしましたが、なかには、そこそこの効果があがるものもありました。それでも、比較的重症な私には、抗アレルギー剤に並ぶものは、ほとんどありません。
もちろん、マスクやゴーグル、花粉を衣服に付きにくくするスプレー、そして空気清浄機も、とても役にはたちますが、声を仕事で使う空間に、花粉を限りなくゼロにすることは、まず現実的にはほとんど不可能で、むしろ、花粉がより多い状況の中で、仕事をしなければならないことのほうが、一般的とおもって覚悟しておいたほうがよいくらいでしょう。そうなると、やはり、花粉をさけることより、花粉に反応しにくくすることのほうが、より現実的で、たのもしい選択に感じられます。
比較的症状の軽い場合には、お茶のかわりに、甜茶を飲むのは、かなり有効でしょう。カルシウムとマグネシウムサプリメントも、やや効果があります。また、コーヒーの過剰摂取も、意外に効果があります。そして、これは万人にはお薦めできませんが、にがりを含む塩分の多めの摂取も、症状が軽くなるようです。
以上が、私には、体質的な問題などもからんでいるのだと思いますが、実感できるほどの効果が有ったものです。(もちろん、抗アレルギー剤ほどではありません。)
現在の私は、服用タイプの抗アレルギー剤をメインに、生理食塩水による、鼻腔の洗浄と、マスクやエアマスクの使用、また、点鼻・点眼タイプの抗アレルギー剤を併用して、最後の手段としては、副腎皮質ホルモンの入った点鼻・点眼をワンシーズンに数回は、どうしても使用することにはなります。もし、仕事で声を使う必要がなければ、これはがまんできなくもないとはおもいますが、確実に、声のパフォーマンスは低下してしまいます。