発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3766.本番前のトレーニングはどこまでやるのでしょうか。経験も通してのお考えをお聞かせください(3)

A.これは、ひとそれぞれだと思いますが、コンディションも大きく関係してくるだろうと思います。通常のコンディションであれば、通常どおりのウォーミングアップを済ませ、それ以上はなるべくひかえるのが、ベストだろうと思います。ところが、本番が大切であればあるほど、つい心配が先にたち、気になる部分をくりかえし練習してみたりと、余分な声を出しがちになります。いったんこれを始めてしまうと、なかなかやめられず、声を出し過ぎて、喉を疲労させてしまうことにつながります。喉が疲労したまま本番に突入してしまうと、たたでさえ大切な本番で緊張してしまうために、ミスをしやすくなるのですが、それを修正・フォローすることが、かなりむずかしくなります。

誰でもいつでも、どんなに安易な本番でも、本番中のミスや不具合はおきてしまうものです。むしろおきない場合のほうが、少ないだろうと思います。そのときに、すばやく修正・対処できるように、喉はむだに疲労させないことが重要です。

これとは逆に、体は意外にウォーミングアップが必要です。特に、朝起きてからあまり時間が経っていないようなときは、綿密に準備をしましょう。体が半分寝たままでは、喉をうまく支えてフォローすることは、かなり大変なことになります。特に大切な本番の前は、気ばかり焦って、からまわりのウォーミングアップにならないように、ていねいに取り組むことが重要です。時間のことも考えると、少し早めに起きて、ストレッチや呼吸練習、脱力トレーニングなど、自宅などでこなせるものは、なるべく早めに済ませておいて、どうしても直前に取り組んでおきたいものだけを残すようにするのがよいでしょう。

コンディションの悪い場合ですが、風邪などの病気でもキャンセルできない本番の前は、喉のウォーミングアップはなるべく軽く、体も、熱などがある場合は、なるべくひかえめにして、体力を温存することでしょう。そして、当然、通常のようには声を出せない可能性が高いので、修正・フォローだらけになる覚悟でいどむのがよいでしょう。

体はなんともなく、喉だけが使いすぎで疲弊・異常をきたしている場合では、体のウォーミングアップは念入りにこなしましょう。喉のウォーミングアップもそれなりにこなして、温めておくことだけは必須です。この場合は、絶望的に、通常のようには声を出せないので、修正・フォローだらけになる覚悟でいどむしかありません。(♭Ξ)