発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3772.本番前のトレーニングはどこまでやるのでしょうか。経験も通してのお考えをお聞かせください。(9)

A.本番前のトレーニングは自分に対して「必ずこうするべき」というものを定めて有無を言わさず実行するのではなく、その時の自分の状態によってトレーニング内容を調節していくことが必要です。本番前に体のコンディションが整うまでには、人によってかかる時間が違いますし、その日の体調も影響してきます。まず声を出す前に、体が休まっていないか、緊張で体がこわばっていないか、またはすでに歌う体勢になっているかどうかを見極めてください。

体の準備がなされていないのに声だけ頑張って出しても、調子が上がるのには当然時間がかかります。また本番前に中途半端な状態で頑張り過ぎても逆に疲れてしまいます。声が本調子ではない、なんだか目覚めていないと感じるとき、それは結局‘体が目覚めていない'ときなのです。焦らずに、ストレッチをして体をほぐし‘うたう体勢’に近づけてあげます。緊張しやすい首回りや肩など、また縮こまりやすい背中をほぐし広げるストレッチは効果的です。

その後でようやく、やり慣れている発声練習やフレーズなどで声を出し、できればその日の本番で歌う最高音まで歌い、体の感覚を確認しておくとより良いです。このようにして、トレーニングの中で「歌う体勢」(=自分の体と声が繋がっている状態)にもっていけたなら、もう充分に準備ができていますので、決して本番前に歌い過ぎる必要はありません。(♯α)