A.ヴィブラートは18世紀頃まではトリルや装飾音として扱われ、ヴィブラートのない歌い方が主流でしたが、20世紀以降、自然なヴィブラートをつけて歌う歌唱法で歌われるようになってきました。もともと人の話し声にはヴィブラートはかかりません、歌にしても小学生以下の子供の歌声は、特別に訓練しないかぎりヴィブラートはつかないと考えてよいでしょう。ヴィブラートはこのように声帯が成長し、感性が豊かに育つことによって、これらを表現しようとするとき自然に発生するものが理想的なヴィブラートだと云われてきました。
息を吸ったあと、丹田や腰の重心を下に落すようにしながら横隔膜を膵臓の方へ持ち上げていきます。こうすると背筋、頚筋をつたって軟口蓋がひろがり、口蓋垂はもちあげられるので息の流れはなめらかにコントロールすることができるでしょう。この横隔膜の動きにまかせて声を出すと、ヴィブラートのつかない歌声がうまれます。このとき重心をさらに下方へ引き下げながら横隔膜をさらに上方へ持ち上げようとすると、軟口蓋はさらにひらき息の量も自然に増加します。このとき息のスピードを多少はやくしてやると豊かで自然なヴィブラートのついた歌声が得られるでしょう。決して力づくで無理にヴィブラートをかけようとしないのが理想的なヴィブラートを生むのです。
したがってノン・ヴィブラートの問題もこの逆のこと、つまり横隔膜だけにたよって息をコントロールしながら、必要以上に無理やり息の量をふやしたり、息のスピードを上げたりしなければ全くヴィブラートのない声は生まれるでしょう。(♭∀)