発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q4007.発声に筋力トレーニングは必要でしょうか。

.発声力を強化したいのであれば、必要でしょう。特に、サイズの大きい喉を持った人は、喉のサイズに見合う筋力がなければ、声をコントロールするのは困難でしょう。

逆に、筋力トレーニングが発声の邪魔になる、というケースを考えて見ましょう。実は現実問題、筋力トレーニングを発声に生かして成功している例は極めて少ないといえます。さらにいうと、体の柔軟性が阻害されて、自由な発声をこわしている人もたくさん見受けられるくらいです。

では悪い筋力強化の何がいけないのかということですが、それはやり方です。もっと詳しくいえば、フォームです。例えば腹筋一つをとっても、背骨が理想的かつ自然なS字になっている状態で、股関節を中心に上体を起こすフォームをつくれていない状態で強化してしまえばどうでしょうか。たしかに筋繊維は太くなるかもしれません。しかし、本来良い姿勢を維持して体を支える為の目的で行う腹筋が、悪い姿勢を固定する為の筋肉に成長します。これでは、体が凝り固まってしまうだけで呼吸筋群の助けになる筋肉を運動のできない状態にしてしまうことになります。結果は、力むだけで、声に反映されていかない分焦りも加わり悪循環になります。

発声においての筋力強化の目的は、声が自由になるための環境を助けるため、と言うところにあると思います。体の柔軟性と、インナーマッスルの強さが、1:1の割合で重要なのです。筋肉の柔らかさによって体を良いバランスでたち姿勢をつくり、体幹、体軸の筋力でそれを維持する。それが可能になれば、横隔膜と呼吸や、声のコントロールの方へ意識を集中できる、という目的のために行って初めて効果が現れるものです。ので、安易に筋力強化=でかい声の下地、という目的で行う筋トレは避けるべきでしょう。(♭∀)