A.冒頭はpから始まっていますが、低い音ではないので、弱くし過ぎると歌いにくくなります。恋人に歌いかける歌詞なので、やさしくていねいに歌いかける気持ちを忘れなければ、mfでもだいじょうぶでしょう。また、もしpで歌い始められたとしたら、下降音型が続きますが、すなおにデクレシェンドしてしまうと、これもまた窮屈な歌になってしまいます。自由にダイナミクスを動かしてよいでしょう。14小節目から始まるフレーズは、アッチェルランド(ややテンポアップ)して、逸る気持ちを表現してみるのもよいでしょう。
それに続く16小節目のfは、しっかりと準備をしておかないと、fまでもっていくのがなかなかむずかしいですが、勢いあまってffにはならないように気をつけたほうがよいでしょう。
20小節目のfとrit.から21小節目のport.とpppのa tempoは、この曲の中でもっとも表現し甲斐のある部分かもしれません。
25小節目と26小節目の装飾音(前騨音)は、つい軽視しがちですが、きちんと表現に結びつけられるとよいでしょう。
28小節目のfとフェルマータとデクレシェンドは、この表記に忠実に歌うのは、高声域の得意なソプラノやテノールにとっては、かなり生理的に辛いものです。3拍目の音に、fとフェルマータとデクレシェンドを丸ごとずらして歌うのも、よいのではないかと思います。(♭Ξ)