発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q4440.口呼吸か鼻呼吸のどちらでしょうか。

A.ブレスの問題ですが、人それぞれ、教わってきた環境によってこの問題の答えは分かれます。
人によってこの答えを、良し悪しで考え、相反するほうを否定的な意見で答えようとする人がいますが、私はどちらも一長一短であると思っています。
日常生活における呼吸は、口からではなく、鼻から吸うほうが理想的であると思います。
理由は、鼻には鼻毛や鼻水といったものがあり、それらはフィルターの役目をするので、体内に取り込まれる際に空気が浄化されます。一方、口には唾液はあるものの、フィルターの役目をするものが無く、空気中の様々な物質やウィルスなどが、そのまま口や喉を経過して肺に入ります。衛生的に考えるとあまり好ましくはありません。
また、冬場などの乾燥している時期は、口や喉が乾燥しやすくなりますので、口から吸う事は極力避けることが望ましいと思います。
ここまで日常生活においては、口呼吸を散々非難しましたが、歌や発声を考えた場合、深いブレスを吸うこと、喉の開放を実感することに慣れていない人のトレーニングという観点で、私は口呼吸をお勧めします。理由は、深いブレスを吸えない人、喉が詰まってしまう人に対して鼻呼吸を進めてしまうと、力みにつながり、声が硬く非常に窮屈になってしまうことが往々にしてあるからです。
ブレスに慣れていない人は、鼻から勢い良く吸い込もうとします。しかし、その行為が、肩が上がってしまったり、胸が硬くなってしまうことに繋がり、「深く吸う」という行為を邪魔する原因になってしまいます。なので、私は、トレーニングとして一定の期間は、強制的に口から吸うことを心がけ、喉の開放と深いブレスを吸う感覚が身についたら、口でも鼻でも状況に応じて吸いやすいほうにしていくのが理想的ではないかと思います。(♭Я)