発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q4821.音大の何が問題でしょうか。

A.一番問題なのは実技試験です。現役で入れば18~19歳ですが18~19歳の勉強したての声で良し悪しをつけ点数をつけるというのは私は馬鹿げていると思っています。若い学生には大変でしょうがこの4年間は発声につぎ込んでもいいくらいです。
歌えてもいないのに大変なオペラのアリアを歌わせて苦しそうにしているのをみるのは辛いものがあります。人間ですから習得スピードも理解度も違うのに一律に試験してしまうからです。
将来、仕事を得るためにはオーディションやコンクールを受けなければいけないのですから学生時代の試験というのは再考の余地があります。
音大を目指すひとの多くは実技に集中するあまり一般教科をおろそかにする傾向があるのですが、じつはここが一番声楽を目指す人に欠けている部分だと思うのです。なぜなら持ち声がいいだけでは上達しないからです。
学生の間は持ち声だけで上位の点数をとる人がたくさんいますが持ち声にかまけて怠けている人は必ず転落します。若い時のパワーででる高音なんて数年でなくなります。
東京六大学や京大、上智などに進学する人たちは勉強のやり方をしっています。スタートは遅くても他の楽器とちがい声楽だけは大学生から勉強しても充分対応できます。
私は一般の大学でセンター試験も合格する位の勉強する能力は声楽を目指す人には必要だとおもうのです。
なぜなら声楽はイタリア語をはじめ、英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語は歌えなければいけません。意味もわからず歌っても何も伝わりませんし、歌い手が理解していない歌詞をどうやって聞き手に理解させるのでしょうか。オペラなら演技も必要です。歌詞の意味がわかっていれば自然な演技はできます。
歌詞の意味がわからないから「この小節で立ち上がって、この小節がきたら手を握る」なんてことが起きてくるのです。
今やプロの現場では外国人の演出家や指揮者がくるのは当たり前の時代ですし語学が出来なければコミュニケーションもとれません。
なので私は極論かもしれませんが、一般の大学に通いながら週に2~3回ほどのレッスンに通いそこで声を磨き、現場、留学しても必要な語学の勉強をするほうが、他の余計なことを考えずに勉強できるので上達するのではないかと思っています。
最近は一般大学からプロになったオペラ歌手も増えてきました。
(♭Σ)