A.一つは、胸郭の全体を膨らましたり縮めたりするものです。肋骨の間には、上下の肋骨をつなぐ肋間筋という二層の筋肉があります。外肋間筋は、下の肋骨を持ち上げ、胸郭全体を膨らませ、内肋間筋は、上の肋骨を引き下げて、胸郭全体を縮めます。
もう一つは、胸腔と腹腔の間の横隔膜を働かせます。横隔膜は、上に向かってお椀をうつぶせた形に盛り上がっており、胸と腹の境界あたりで体の壁にくっついています。横隔膜の筋肉が収縮すると、低くなって、胸腔が広がります。
息を吸うときは、外肋間筋を収縮させて胸郭を広げる動きと、横隔膜を収縮させて引き下げる動きが行なわれます。
これに対し、息を吐くときには、肺に縮もうとする力が働くので、呼吸筋の助けはなくともよいのですが、強く息を吐き出すときには、呼吸筋を使います。内肋間筋が働いて胸郭を縮めるとともに、腹壁の筋肉が収縮して腹圧が上がります。
呼吸の際に主に胸郭を動かすのを胸式呼吸、横隔膜をよく動かすのを腹式呼吸といいます。これもきちんと区別してするものでなく、両方がまざっているのです。(♭ф)