Q.発声に使われる筋肉がわかっているのであれば、その一つひとつをチェックしてトレーニングしていくことができないのですか。☆
A.確かに今や、発声のメカニズムから、一つひとつを一コマにして、そこで使われる筋肉の動きをたどることはできます。その筋肉の筋力を一つずつ高めたらよくなると考えてもおかしくないでしょう。しかし、結論としては、総合的に動いているところで総括的に動かしていくしかないのです。運動ニューロンは、一つの筋を支配していますが、大脳運動時、細胞は必ずしも1対1で対応しているのではありません。それはイメージによる方向づけによってトータルとして動かすしかないのです。スポーツ選手のなかにも、実際の動きや総合的な働きと切り離した筋力トレーニングには、否定的な人が少なからずいます。
Q.発声もゴルフのように分解写真で学べませんか。
A.分解された一コマ一コマは紛れもない事実ですが、死体の解剖と同じく、静止しているわけです。それゆえ、説明しやすいのですが、現実の動きとは異なります。無意識の動きなどを意識的に覚えるのはメリットと同じくらいデメリットがあります。たとえば、1秒に何回も振動する声帯の写真をみても、発声に対して、よいイメージを描けないと思います。
Q.喉の仕組みを教えてもらったら発声は直りますか。
A.力づくで喉を締めたりはしなくなると思いますが、そのことで喉を意識すると逆に難しくなるでしょう。