発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.歌でも台詞でも「言葉を語りなさい」というようなアドバイスがよくあります。

Q.歌でも台詞でも「言葉を語りなさい」というようなアドバイスがよくあります。

A.これは簡単なようで難しいものですね。自分が演者としての立場でも簡単ではありません。語りやすい言葉の場合もあります。しかし体験の薄い内容や慣れない言葉だったり、何回も繰り返していると麻痺したりして感覚が鈍くなっていきます。
ここでいう「語る」とは声のテクニック的なことではなく心理を通してシンプルに言葉を語る、という意味です。(♭Д)

Q.「語る」ことの感覚がよくわからないのですが。

A.日常ではみんな普段から自然に語っているはずです。刺激を受けて→理解・考え→行動、そして自分の言葉で語ります。先ずは普段のように与えられた歌詞や台詞を語るということを意識してください。どうしたらいいのか・・・。実際にどうやって身に付けていくのかはレッスンを通して出なければ難しいですが、注意してほしいポイントを述べます。
・表現しようとしない(声の抑揚などを意識的につけない)・・・普段喋っている時の表現は心理を通しての自然発生的な結果ですよね。声の抑揚をつけることが癖になっている方の場合は敢えて棒読み気味に練習するとよいです。
・言葉を五感でとらえる・・・情景や喜怒哀楽を具体性をもって感じる。妄想の世界です。ここでは左脳は不要です。
・五感でとらえて口にする・・・五感でとらえた瞬間いい案配で口にするのも実は簡単ではありません。自意識と言う魔物が瞬間邪魔をしたりします。
総ては感覚のものです。以上述べたことは至ってシンプルに「語る」根源的なことを説明したまでで、朗読や歌唱の際のもろもろのテクニックによって補われ表現として成立します。しかしこの根源的な「語る」ということをおざなりにされていることも現実として私はよく感じています。(♭Д)

Q.体調不良のときのレッスンについて教えてください。

A.突然大雨や雹が降るなど、おかしな天候が続きます。低気圧のせいなのか、体調が優れない方も多いでしょう。そんなときのレッスン、みなさんはどうしていますか?
「がんばってレッスンを受けたい」
「予約しているのだから無駄にしたくない」
「体調が悪くても、何かできることがあるだろうからとりあえず行ってみる」
そんな気持ちでレッスンに訪れることでしょう。少々の体調不良なら、「やる気」と「集中力」でなんとかなります。「病は気から」というように、気分次第で治ったりもします。
逆に、レッスンを受けてみたら身体がすっきりした、なんてこともありますね。けれど、風邪で喉をやってしまった場合、これだけは別です。大切な大切な楽器が炎症をおこしているわけです。「楽器」が故障したらどうしますか?修理に出しますね。そうしないとよい音が出ないし、そのような楽器を使っていては、よい練習ができないでしょう。
「声」も同じです。声帯が腫れ、かすれていたり、重たかったり、咳払いをしょっちゅうしたくなるような状態だったり・・・。そんなときは、喉を休ませることです。しゃべることだけでなく、音楽を聴くことも控えます。音を聴くことによって、声帯が歌っている状態になって疲労するからです。そんなときには、実際にうまく発声することはできません。
喉がおかしいなと思ったとき、軽くハミングをしてみましょう。声帯が合っていないな、風邪のせいでいつもの状態と違うな、と感じたら、その日は身体を休めることに専念しましょう。
同様に、鼻が詰まっているとき、咳が激しく出るときもそうです。
鼻づまりでは息が流れませんし、咳をすることによって、声帯を痛める場合があるので、十分に用心しなければいけません。自分の身体がどんな状態なのかをよく知ることが大切です。大切にケアしていきましょう。(♯Å)

Q.力を使わずにパワフルな声を出す方法はありますか?

A.ありません。声をしっかり出すということは、必要にして必要な力を使わなければなりません。しっかりした声を出そうとするには、全身で支えられるようなパワーが必要です。お腹や背中など、いろいろな部分が疲れるような力が必要です。楽なところばかりを使って力強い声を出そうとすることが、却って「余分な力み」を生む結果になります。
余分な力みとは、喉が締め付けられるような感覚であったり、お腹が固まってしまうような感覚、肩があがってしまうような感覚などです。これらは発声には本来不必要な要素であり、余分であると考えられます。
しかし、弱い声を大きく育てる過程で、一時的にそのような部分を通過しなければならないときがあります。自分の中では「余分な力み」であると感じることも、トレーナーからは「それでいい」と言われることがあるかもしれません。声を育てるためには、一時的に若干の無理をするような部分を通過しなければならないこともあるので、もしも、そのような誤差が生じたとしても、まずはやってみましょう。そして、どうしても気になるようであれば、これでいいのか質問してみましょう。
パワフルな声を出すということは、一朝一夕では叶わない、日々の努力が必要です。レッスンで指摘されるアドバイスを基に少しずつ慣らし、声を育てていきましょう。(♭Я)

Q.声に執着しすぎないとは、どういうことでしょうか。

A.皆さん、声を磨くためにヴォイストレーニングを受けに来られているので、そのような人に対して、このようなことを述べるのはおかしなことかもしれませんが、誰しもが陥りやすいことなのでご注意いただければと思います。
皆さん、このような経験はありませんか?録音した声を聴いて、別人の様に感じたり、自分ではしっかり伝えようと喋っているつもりなのに、相手から聞き返されたり、レッスン中に自分ではやっているつもりなのに、全然そう聞こえていないと言われたり。
自分の声というのは、実は自分自身では判断できません。声は自分自身が楽器であり、自分自身が響いてしまうため、その振動を伝わない他人が聴く声と自分の声では差が生まれるのです。
なので、声というものは客観的な立場でなければ判断できないのです。レッスンはそのためにあるものだと思います。また、声は日によって変わるものです。体調や精神状況、聴いたものの無意識な影響などなど。なので、「よい声」を求めるということは、実は無意味なことなのです。
本当に理解すべきなのは、よい声が出せていたときの現象を身体全体で理解すること。レッスンで最も重要なのは、「よい声」よりも「感じ方」のほうです。
口の開き方、ブレスの吸い方、声を出しているときの身体の使われ方など、このように実際に体感できるものを目安にしていったほうが、はるかに効率的に体得しやすくなると思います。声に執着しすぎずに、身体で感じながら声が出せるようにしていきましょう。(♭Я)

Q.声を出すときの目安になるものはありますか?

A.ヴォイストレーニングを始めた段階では、どのように声を出せばよいかわからず、苦労されると思います。例えば、「お腹から声を出す方法ってどうすればいいの」や、「どうやったら高い声が出るようになるの」などといった悩みが、一番最初に出る自分の疑問だと思います。しかし、それをやるための課題というのがあります。順を追っていかなければ却って遠回りをしてしまうことになります。そのため、まずはトレーナーのもとで手取り足取り教わることが最良であると私は思います。また、色々な要望はあるでしょうが、高飛びしすぎずに、目の前の課題を一つ一つこなしていく事が、何よりの近道であると思います。
トレーナーはよい声が出せるためのヒントを毎回与えてくれると思いますが、それを目安にしていくことが、よい発声への目安になると思います。自分の声を磨きに来ているのだから、練習しているときでもよい声が出せるように自分で確認しながら行うという人もいると思いますし、自分自身もそうでした。しかし、自分の声というのは自分自身では判断できません。ですので、私は、よい声が出しやすくなるような目安を、目で見える状態、身体で感じられる状態で慣らしていくようにしています。もちろん、レッスン中にも生徒さんに対して、口の開き方や息の吸い方、声を出しているときの身体の感じ方などを確認しながら、生徒さんが実感しやすい目安を作ってレッスンしています。
最初はわからなくて当然だと思いますが、その感じ方を目安にして、少しずつ慣れていくことが、よい声を出す目安になっていくと思います。(♭Я)

Q.声を磨くためには

A.声を磨くということは、己との終わりなき戦いになります。
声は自分ひとりでは磨くことができません。なぜなら、自分に聴こえている声と、他人が聴いている自分の声は聴こえ方が異なるからです。録音した声を聴いて違和感を感じたことがある方もいらっしゃると思いますが、それほど違って聴こえるものなのです。
常に客観的にアドバイスしてくれる存在が必要であり、この研究所やトレーナーもそのためにおります。(♭Я)

Q.レッスンの中では、「今まで自分の良かったと思っていた感覚」が否定されたのですが…。

A.それは「否定」ではなく、「より良き道への案内」なのです。もちろん、今までのやり方と違うことを指摘されたら「否定された」と受け取れるかもしれません。しかし、トレーナーは「更に先に進んでほしい」、「よりよい道へ進んでほしい」と願って、一人ひとりのレッスンを行っています。ですから、ネガティブな印象を持たずに、常にポジティブに前向きに取り組みましょう。ポジティブな考えを持ちながらだと、きっと、新たな発見ができるようになると思います。
ネガティブなイメージでレッスンを受けていくと、どんどんよくないことばかりの頭になり、アドバイスが入りにくくなっていきます。それは成長を邪魔することになると思いますので、できる限り前向きに取り組みましょう。(♭Я)

Q.レッスンや練習を休むとどうなりますか。

A.忙しい中、練習時間を確保することが難しかったり、時としてレッスンを休まなければならないこともあるかもしれません。生活をしていくことは重要ですので、お仕事などでお休みになることは致し方ないと思います。ただし、休むことが常態化してはよくありません。何よりも「もったいない」と思ってしまうのです。
レッスンや練習は「継続してこそ力」ですので、休むということはその分衰えます。前回良かったところも上手くいかなくなるのは当然です。それはどんなトレーナーがレッスンしたとしても、原理は変わりません。
せっかくひとつステップを上がれたのであれば、次回にはもう1~2ステップは進みたいですよね。そのためには継続することがとても重要なのです。(♭Я)

Q.レッスンより、自主トレを優先させたい。

A.当然のこととして、レッスンを休まずにいらっしゃる生徒さんの方が、休みがちな方に比べて上達が早まります。レッスンを休んでも、自分で練習すれば取り返せるかといえば、なかなかそうでもないのです。自分の声は自分の耳では判断できません。自分の声を自分の耳で判断すると、むしろ回り道をしてしまうこともあります。上達への近道は、「レッスンを休まないこと」に限ると思います。客観的に声を判断してもらえる状況をできるだけ多く作ることが、重要だからです。ご自身のために、できるだけレッスンに出席しましょう。そしてどんどん上達していきましょう。(♭Я)