発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.声をつくってしまうくせをなくしたいのですが、どうすればよいでしょうか。(1)~(11)

. 歌声などの声は本来、造るもの、造りあげていくものなので、造ってしまうことは悪いことではありません。また、まわりの人たちからは、つくったような声でおかしいと言われていても、ご本人としては造っているつもりではなく、ごく自然にそうなってしまうことも少なくありません。そのように出す声が好きだったり、出しやすかったりということが、原因になっているのだろうと思われます。

もちろん、ご本人の喉に、大きな負担がかかるような出し方では問題ですが、そうでなければ、むしろ個性として伸ばすほうが、得策かもしれません。

それはさておき、声は造るものといいましたが、どう造るか、ナチュラルに造るか、作り物のように造るか、ということが問題なのだろうとおもいます。声の好き嫌いとして、造った声が好きではないということならば、口の中を大きく開けたり、軟口蓋を強く使ったり、唇を縦にあけたり、また、口の回りの筋肉など、声が大きくなりそうな部分を過度に使ったりという、不自然なことをせずに、自然に根気よく声を育てていくことが、大切になるでしょう。(♭Ξ)

 

. 自分で声をだして、自分が聞こえてくる声と、人が聞いている声は違うということの理解がまず重要です。「声をつくっている」という感覚は歌っている本人にはあまりないはずです。トレーナーや聴いている人に「声をつくっている」と指摘されたからこの疑問がわいているはずです。

・まず大事なのは自分で自分の声の判断をしないこと。

・自分に聞こえてくる声よりも、人の耳を信じること。

1人で練習しすぎないこと。

・この問題に直面したときには1人の練習よりもトレーナーとのレッスンに時間を割くこと。

自分で自分の声の判別がつかないのに1人で練習して自分で自分の声を判断することほど悪循環はありません。

この問題の解決は早ければ早いほどいいです。声を作っている状態でのその他の訓練はほぼ意味をなさないからです。

原因の多くは、舌の問題、顎の問題からきていますので早期の解決が望まれます。

一番のアドヴァイスとしてはこの問題を抱えている間は数ヶ月間でもいいのでレッスン回数を増やし癖をとるための矯正をおこなったほうがよいです。上記でも書きましたが、声をつくってしまう原因の舌、顎の問題がとれない間は他に響き、支え、呼吸、音域等の問題はそのほとんどが根本的な解決はできません。(♭Σ)

 

.声と、心は、つながっています。心のこもっていない声は、やはり、うわべだけだなと聞いていてもわかります。そういったことから、つくり声ができてしまうのです。まずは、自分が、出しやすい声、自分に無理のない声の出し方を、探すことが大事だと思います。変に力が入っていたり、すると、不自然な声になります。

喉はいつも、力が入っていないかとか、自分に対していつも、問いかけてみてください。地声から、ポルタメントをかけるようにすると、自然と高音の声が出てくるようになると思います。

自分の好きなアーティストの声を、うわべだけで、真似ようとすると、作った声になってしまうかもしれません。声そのものをまねるのではなく、どうやって出しているのかというところに視点をおいて勉強することが大事です。

発声の基本は、腹式呼吸です。これは、歌だけではなく、芝居や、お仕事で声を使う方にとっては、基本のことです。腹式呼吸を意識すると、つくった声を自然になおすことができます。腹式呼吸の強化方法はいくつかありますが、常に息を吸うときは、鼻から吸いゆっくりと、口から吐く。お腹は、みぞおちと、おヘソの間を意識して、そこに、水がたまるようなイメージで息を吸いましょう。

(♯Ω)

 

. 声を作ってしまう癖というのは声を作ってしまうというよりは、自然な声とか自然な発声をすることもなかなか大変ですよね。自然な声とか自然な発声という定義が本当に難しいと思うのですが・・・。

私が思う自然な声とは、楽に息が吐けて、楽に声が出ることです。私の体感では、そのような状態の時は、喉を声が素通りしていく感じがあり、歌おうとか声を出そうとか思わないでもいいくらいな感じです。

声を作ってしまう癖にも傾向があると思いますが、顎の部分に力みがあると、硬い声になりやすかったり、詰まってしまいやすい声だったりします。強い声がほしくて、無理に声を張り上げてしまう場合もあります。何事もバランスが一番大事ですので、そういう場合は初心に戻ることをおすすめします。

楽に息が吐けているか?その息に自然に声が乗っているか? 声がまっすぐに前に出ているか?身体の関節に力が入っていないか? 下顎の部分がリラックスしてるか?基本は何よりも大切です。

(♯Δ)

 

.なぜ声をつくってしまうのでしょう?それはいい声を出したい、上手く歌いたい、感情を表現したいなどの思いはあっても、その思い通りにはいかないので手っ取り早く対応できる策として(意識していようがいまいが)喉で声を押してしまう、喉をしめつけてしまう、といったことが生じるからです。喉に負担をかけた声を、本来の声ではない=つくった声、と感じるのはある意味自然なことです。では、なぜ喉が台頭してしまうのか?それは、楽器である自分自身の身体を使えていない、または使い方が分からないというのが大きな理由です。(声帯や身体が健康であることを前提に述べています。)

身体を使って声を出していくトレーニング方法は、呼吸の練習などを含め色々とあります。”声をつくってしまっている”ことに自覚があること自体は、自覚がない頃よりもすでに一歩前進しているのです。焦って「声」だけに目を向けずに、その声を奏でる「身体」の使いを探求していってください。(♯α)

 

.声を作ってしまうということを気にせず、レッスンを受けて発声法を身につけてください。やるべきことはそれだけです。声を作っていると指摘されるということは結局自分自身にとって最も効率的な発声法を確固としたものにできておらず、その場その曲に合わせて声の調子が変わってしまうという状態です。

よっぽど器用な方で、自分の声帯や体の使い方もマスターしているのであればプロの物真似の方のように長いスパンで自分の喉で勝負できるでしょう。しかし、行き当たりばったりの発声で誰かの声を真似て歌いつづけた場合、結局自分に適した発声ではないので、うっかり調子を崩したりする確率も高くとても辛いと思います。

あなた自身の魅力が引き出されている状態ではありません。今、そのことに気がつけたなら、よい機会ですから焦らず、綿密に自分の声と向き合ってください。他の誰かの声ではなく、自分の声、声帯、身体に集中してください。(♯Ж)

 

.出しづらい高音や低音を無理に出そうとして喉や舌根に力みが入って、結果的に作った様な声になってしまう場合などは単純に発声を変えればいいのですが、よくあるパターンとして考えられるのは、自分の声を自分で聴きたい感じたいあまりに「いい声」が自分の耳に骨伝導するように喉で声をつくってしまう場合です。この場合、結果的に声がこもって、また硬い感じの声になり、外に開放的に飛んでいかない場合が多いです。

声を出す場合、自分の声が遠くで響いているような感覚で声を自分の体から離すといいと言われています。つまり、今だしている自分の声を自分の耳で聴いたり確認しないことです。こうすることによって、声をつくってしまう癖を解消できる場合があります。

いずれにしても、声をつくってしまう癖のある人の場合、喉や舌根、顎など発声器官のどこかに力みがあるはずです。発声器官のリラクゼーションを心掛け、スムーズな呼吸と無理のないシンプルな声帯の振動を意識して発声法の改善をお勧めします。(♭Д)

 

.憧れの歌手の声を聴いて、「こんな風に歌ってみたい」「こんな声を出してみたい」と思うことがあるでしょう。「学ぶことは真似ること」とも言いますので、それによってよい声が出たりする場合もあるでしょう。ですが、声というのは世界にたった一つしかない自分だけの楽器です。

その楽器のことを知り尽くしているのは自分しかいないし、使いこなせるのも自分だけです。声を作って表面だけ、雰囲気だけで歌うのではなく、まずは発声の基礎を身につけましょう。

呼吸法、身体の筋肉の使い方を覚え、自分の声の特徴を知ります。

レッスンや自分が練習している時の様子を録音し、改めて聴いて復習することが大切です。癖をなくすには、癖がついて歌っていた期間と同じだけかそれ以上の時間を要すると言われています。

とてもしんどく先が見えない状態に陥ることもあると思いますが、自分を信じて一つ一つ、ものにしていくとよいでしょう。(♯Å)

 

.『声を作ってしまう』場合、「格好良く見せたい」、「可愛らしくしたい」、「憧れている人に似せたい」、「自分の声が好きではない」・・・等、本来の自分と違うものを表現したい気持ちの表れであったりします。

『作った声』は身体やしっかりした呼吸から発声された『本来の声』とは違い、不自然に聞こえます。これは発声時に不自然に力が入ってるからと思われます。

リラックスした状態でしっかりした呼吸で発せられた声は伸び伸びとしたその人なりの魅力的な声です。“自分らしい事”に自信を持って堂々と声を出すようにするとよいと思います。(♯μ)

 

.声を作ってしまうくせということで、実際に聞いてみないとどんなくせなのか、それがつくってしまっているもなのかという判断ができかねますが、恐らくのどや軟口蓋、舌に力の入ってしまっている状態ということで進めます。

イメージしやすいのは日本のアマチュア合唱団、特に男声にみられる音色の声です。声を出すことに関し、声帯で原音が発生すること、そしてのどや顔の中の共鳴器官で音が声としての色をもつことが大きく分けられると思います。声をつくってしまうと思われる原因としては後者の部分の改善が必要となります。

声帯で鳴らされる原音はよい声という印象ではなく、どちらかというとゲップのような汚いと思われる音ですが、まずは、自分でよい声とかキレイな声とかという概念をもたず、声帯でならされる原音を感じることが大切ですし、また、その原音が共鳴器官によって声となるわけですから、ある意味私たちの声全ては作られた声といってもいいくらいだということを意識しておくこともおすすめしたいです。(♭Ч)

 

.声をつくってしまうことの原因を知りましょう。

声をつくってしまう原因は人それぞれ色々あります。「その歌を歌っている歌手の声マネになっている」、「話し声と歌声は別物だという意識が強い」、「軽やかに歌ってという指導を受けてきた」、「響きを高く狙ってという指導を受けてきた」、「響きは鼻に集めてという指導を受けてきた」などの意識的な要因もかなりの割合であると思いますが、つまるところ、身体を使った発声の感覚が掴めていない為に起こっているのだと思います。

改善策として、まず、自分の本当の声を知りましょう。持ち声の声質、音域、長所と短所など。これをないがしろにして、その曲っぽく歌おうとすると、つくった声になってしまいます。ありのままの自分の声が出せるようにトレーニングしましょう。

変に着飾ったような声は、あなたにとって無理な声かもしれません。あなたの裸の声を大事にすることです。声マネや過度な表現をせず、あなたが持っている声の一番よい部分で勝負しましょう。人によってよい部分は千差万別十人十色です。

癖の取り方としては、口を縦に開いて「ハ行」で練習しましょう。喉に力が入ってしまうと、この練習が大変に感じると思います。

ハ行に慣れてきたら、母音だけの発声をしてみましょう。

実際に見ながら出なければ、詳細をうまく伝えるのは難しいのです。

とにかく最も大切なことは、喉に過度な負担を掛けないで発声できる感覚を身につけることです。

レッスンで「自然な声」と言われたときの自分の声を失わずに、それをブラッシュアップするように心がけましょう。(♭Я)