Q.プロを10年やったのですが。
A.本当の声や歌にしたいと思います。あなたは、何かまだ足りないということを知っている有能な人です。私の方がレッスンで多くを学ばせてもらいました。私のところのトレーナーは声楽家中心ですが、ここで他分野のプロや、一般の人をも一緒に見て学んでいますから、およそのことには対応できます。
Q.なぜ、声が身につかないのですか。 A.多くの人が、大した成果を得ることなく、トレーナーやスクールを次々と変えて、ここにいらっしゃいます。それはヴォイストレーニングというものの中で行なわれていることが、感覚や体を実際に使えるレベルまで鍛えたり、器を拡げたりすることではなく、すぐに高い声を出したり、うまく歌えるようにしようとする付け焼刃の演技指導やヴォーカルアドバイスに過ぎなかったからでしょう。 しかし、これはトレーナーだけでなく、その程度でヴォイストレーニングができたと思ってしまう、受け手側の自覚のなさにもあります。歌や声をその程度のものと見ている限り、自らの身につくものも、そのくらいのものだというのは当たり前でしょう。 Q.基本は全く身につかず、何ら元と変わっていないのは、どうわかるのか。 A.ここには、どこかで「うまく歌えるようになった」とか、「呼吸法はわかっている」と言う人も来ます。「海外に行ってよいトレーナーについたら、すぐ身についた」という人までいます。何事にも感謝して、それを糧にすることはすばらしいことです。前のトレーナーを文句ばかり言う人も多いなかで、その点は、前向きで可能性はあるのです。しかし、こういう人は、自分の求めるイメージをレベルアップさせることからスタートしなければなりません。「そのおかげでどのくらいの声が身についた?」「今、どこで活動している?」と聞いて、答えてくれる人はいません。本人がそう思いたいだけ、心優しいトレーナーや周囲の人がそう言っているから、そう思い込んでいるだけ、そこをはずすことからです。(♭)