発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.地声を出したり、高音を出すのに裏声のレッスンから入るのは。☆☆

A.イメージとしては、声帯で丁寧に声にすることを覚え、共鳴する感覚も丁寧に効果的に声にする体験を通じて、声を整理し、最小限で最大の効果を得るためです。

このあたりは、トレーナーでもいろんな考えがあり、相手によっても異なります。

私は、最初ソプラノの先生で最少の息と声で高音を調整する頭声を学び、次にバリトン、バスのように、やや強めに声量をとって太くしっかりした胸声を学びつつ、ピアニッシモで遠くまで届かせるベースをつくり、最後に歌で、高めたその共鳴をフィードバックする歩みをとりました。

どれをどう選ぶか、組み合わせるかは相手の目的や、もっている声によっても異なります。しかし、いろんな意味で、器の小さい日本では、ソプラノやテノールの細くカン高い頭声発声があまりに多いのです。そろえる前に、出すことをもっと中心にしなくてはいけないのではと思ったわけです。もちろん、共鳴だけでできていく人はそれでよいし、共鳴の経験のない人をそこからアプローチするのは悪いことではありません。しかし、共鳴だけでは発声での世界のレベルに追い付けません。この30年、さらに逆行しています。息も声も浅い人が歌うと、詰めた声になるのです。それを離すことに大半が割かれています。そこで習うと詰めた声はなくなり、平均レベルが上がったものの、トップレベルはいなくなりました。(♯)