A.すぐれた芸術家は芸術作品を生み出すにあたり、その方法論を自ら創り上げる努力を怠りません。むしろ、作品がその方法論の産物にすぎず、方法論こそがアーティストとしての偉大な創造物であったといえるのです。発明家のグラハム・ベルの「最大の発明は、ベル研究所だ」と言われます。自分の発明よりも発明のできる人をつくる発明をしたということです。
他人の体験談を使うにあたり、他人の方法ということと、同じかそれ以上、その体験談を疑うことも大切です。何回か方法論のところで述べたように、その人が何かを成し遂げた、その体験から方法を取り出すとしたら、正しく純化された完全な方法というものはありえないということです。
私もいくつもの方法を学び、いくつもの方法を使ってきました。そこで役立ったと思うものとそうでないものがあります。とはいえ、この思い、そのものもまた、必ずしも正しくありません。思いゆえ、思い込みが入っています。よい方法と思ったもの、他の方法の方がもっとよかったこともあれば、悪い方法と思ったものでも他の方法ならもっと悪くなっていたかもしれません。健康食品やサプリの、あるいは競馬必勝法や宝くじに当たる○○とかの体験談や成功ノウハウと似ています。(♯)