A.人の場合、人体実験はできないので、最近は脳科学がもてはやされているのですが、それもアプローチが中心になっているのにすぎません。「再現できた」と言ったとしても、ヴォイトレの効果では、何をもって同じとみるかに、かなりのばらつきがあるのです。これは、全く同じであるということはありえず、許容される誤差内でということですが、誰がどうその許容の範囲を決めるのかということです。
一つの方法を使って、もっとわかりやすい例で、ある高さの声が出たとします。これは一般的によくあがる効果というものです。しかし、それができていなかった状況や方法の使い方、できたということの状況について、かなり大雑把に捉えているにすぎません。その方法を使わなくてもできた可能性もあるし、それまで本当にできていなかったのか、また、本当にできたとはどのレベルで言っているのか、など厳密にいくつもみると疑問は残るのです。
でも本人がよいならよいということです。本人やトレーナーが効果というなら効果なのでしょう。
つまりは科学的ではないのです。科学というなら「ある条件のもと」を定める必要があります。ヴォイトレは、被験者が異なるとその条件を一定にできないし、同一人物で同時に検証はできないわけです。トレーナーにより、使う人によって変わるのです。それぞれの個人的な体験をもって一般化するのは危険なことです。(♯)