A.科学的根拠、つまりEBM=Evidence Based Medicineは大切なことで、私もこの分野には重きをおいてきました。しかし、科学は万能ではありません。また、証明されていないから証明されたものよりも全てにおいてよいとは限りません。科学ほど、時代によって覆るものはないのです。
第二に、必ずしも心理の方が現実に対処できるとは限らないことです。むしろ、逆のことも少なくありません。例えば「日が昇って沈む」と「地球が太陽を回る」は、どちらを毎日の生活で使いますか。天動説が否定された今でも、詩や歌詞でも、それで充分なはずです。私たちは「昇る朝日」と「沈む夕日」と関わっているでしょう。私たち一人ひとりの人生、一人ひとりの体について、生きてきたストーリーでみるべきことの方が大切だからです。
何よりも、医師の科学的な検査(写真ほか)の所見で、全く声帯や喉の異常のない人がここにはたくさんいらっしゃっています。
声がかすれるからよくない。すると医師は、薬で効果を試します。効かなければ別の薬と次々に、それが科学的な療法ともいえます。しかし原因は寝不足や運動不足、ストレスやいろいろと別にあるのです。特に、慢性疾患には、医師はうまく対応できていません。
医者に行く前にできることはたくさんあります。医者に行ってもできることはかなり限られているものです。発声に関しては、明確な症状のあるもの(ポリープ、声帯結節など)以外あまりお勧めするべきでないケースも多いのです。(♯)