A.私のところでは、過度に発音、滑舌を重視していません。発声から考えると発音は後の位置づけです。それでも、実践的に考えるのなら、口をはっきり開けた方がビジュアルの助けも加わり、新人としては早く通用します。大学生でTVに出る女子アナなどが、その例です。そこから2、30年たつと、アナウンサーでも残っているのは、個性豊かな声となった人だけです。口もほとんど動かさなくても明瞭な発音になっています。母音は口形でなく、口内でつくられるからです。
ですから、新人社員をセールスや接客での即戦力とするには、滑舌練習からのアナウンストレーニングをするのが手っ取り早いのです。「話すため」の技術向上になります。すると声はほとんど変わらないか、人によっては浅くなります。日本人の社会風土や日本語の性質(高低アクセント、高出し)がそれに拍車をかけます。高く浅い方が、新入りとしては受けがよいからです。個性や独自の説得力や表現力はむしろ、ここでその方向性を奪われるのです。それを評価しない日本の社会の問題も大きいです。(♭)