発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.オペラにおいては、パヴァロッティのような声を聞くにつれ、本人の努力はあるとしても、持って生まれたものの差は大きいと思うのですが。☆

A.表現やオリジナリティを踏まえて述べるなら、私はロマのバイオリンのようなもの、あるいはインドのカーストで音楽を生業とする人たちの演奏を思い出します。楽器は、ボロボロの寄木のようなものから本人自身がつくります。手製でも、その耳とそれぞれの楽器に合わせた調整や、それを活かす演奏がプロフェッショナルなのです。楽器を半分つくり変えるほどの調整もしてしまうのです。民族音楽とオーケストラに使われる楽器の優劣を簡単に述べることはできませんし、そのこと自体、無意味ですが、どの時代どの国にも、すばらしい演奏家も歌い手もいたということは事実です。

つまりは、すべては人間の力、その人をとりまく環境と表現へのあくなき欲求によるのです。それが有利で、才能が輩出した時代や国、地域もあれば、不利でまったく不毛だったときもあるということです。

私はあなたに、ここに述べたロマのすぐれた演奏家を目指して欲しいのです。自分のがどんな楽器であれ、それを疑わず自分流に最大限に活かせる工夫をして、最高に使い切るつもりでトレーニングにのぞんで欲しいのです。(♭)