A.ヴォイストレーニングでは、指導者からここを響かせて、ここを張って、そこを絞めてなど、いろいろなアドヴァイスがあると思います。それ自体はとても重要なことですし、私自身もそれぞれのアドヴァイスをしていますが、実際の問題としてはレッスンで学ぶべき要素はステージでの発声の問題の五割にいかないと思います。実際には広いステージや舞台、ライブハウスなどで実際に声を出しながら身につけていくものがかなり重要だからです。
レッスンで学ぶことをいかにステージで応用、さらに含まらせていくかが重要であり、レッスンでうまくいけば全てのステージがうまくいくことはありません。
例えば顔の周辺の副鼻腔と呼ばれる部位を意識したり、目の周辺を意識するようにアドヴァイスされることが多い「マスケラ」ですが、そこを響かせればすべてが終了ではなく、そのマスケラで響いたものをホールに飛ばす作業が必要なのです。レッスン室では歌えるのにホールで歌いづらくなるという人は悪い意味で喉がなり過ぎているか、響きが外に出ていかないことが多いのかもしれません。
しかし、レッスンでの五割のものがとても重要であり、そこがクリアできてこその舞台という考え方もあると思います。やみくもにステージに立てるわけでも、ステージで歌っていれば上達するわけでもないので、まずはレッスンでの技術の向上を大事にしてそれを本番でどう活かすかということを考えなければいけません。(♭Σ)