A.声を仕事に使う人間にとって、口呼吸は、危険な習慣です。ただし、これは日常生活での、口呼吸で、レッスンメニュとしての口呼吸ではありません。レッスンメニュとしての口呼吸は、なかなか有効なものなので、是非しっかり取り組み、うがいなどのケアをプラスすれば、ほとんど問題はないだろうと思います。
そもそも息を吸うための専用器官は鼻で、空気清浄機としての役目を、なかなか絶妙につかさどっています。鼻に異常さえなければ、鼻で呼吸をする限り、喉と声帯は、適度な潤いに保たれ、通常の空気中のウイルスや細菌、粉塵などから、守られます。
しかし、同じ空気を、口呼吸にしてしまうと、細菌などの微粒子の除去どころか、吸気の加湿さえ、不充分になってしまいます。私は若い頃、鼻風邪をしばしばひいていたことの影響や、合唱部でのすばやいブレス(口呼吸)の練習の影響などもあり、口呼吸に慣れていて、日常生活でも、気がつかないうちに、よく口呼吸をしていたようです。
その頃たまたま心酔したヨガのおかげで、いろいろな呼吸練習を実践するなか、口呼吸の不快さと、鼻呼吸の快適さを実感し、なぜこんなに不快な口呼吸を、日常的にできていたのだろうと、人間の習慣の恐ろしさを痛感しました。口呼吸自体は、緊急時や歌うときなどに、どうしてもお世話にならなければならないものですが、それを、日常の呼吸にしてしまうと、体や喉に大きな弊害を招きかねないので、気をつけましょう。(♭Ξ)