A.実際には、腹式呼吸に弊害があるのではなく、腹式呼吸に偏り過ぎて、胸が閉じてしまうことに、問題があるのです。腹式呼吸は、とてもたくさんの空気を吸うことができるので、かなり上達すると、腹式呼吸だけで、歌うことはもちろん、日常生活の中でも、ほとんど困らなく、用が足りるようになります。こうなってくると、肩や胸(肺の上部)で呼吸をしなくても済むようになり、スポーツなどで頻繁に有酸素運動でもしないがぎり、あまりその部分を動かさなくなってしまいます。このことがやがて、肩や胸の柔軟性がなくなっていくことにつながっていくのです。
声楽のヴォイストレーニングでは、喉の脱力ということが、よくレッスンの初期段階で言われますが、胸を広げていると、喉には力が入れ難くなります。喉をしっかりうまく使って、声の表情を組み立てていく邦楽の方には、発声時にはあまりお勧めできませんが、健康のためには、胸をいつでも開くことができるように、気にかけたほうがよいでしょう。(♭Ξ)