A. アナウンサーの訓練をみると、「一語一語口をはっきりと動かしてしゃべる」という練習方法や実際にそれを意識して本番を迎える人がいらっしゃることに気づきます。もちろん、情報を映像と声で伝えることが仕事ですので、そのような方法が効果的なのかもしれません。し、もともと口をよく開いてしゃべることが苦手な民族である日本人にとっては必要な訓練なのかもしれません。
しかし、歌の場合、より歌いやすく発声するためには、声の通り道が望ましい状態の部分を準備できることが大事です。そのためには、口の中の形が変わりすぎてしまうというのは、通り道として望ましい状況ではありません。それゆえに、一語一語口の状況を変えてしゃべるように歌うというのは、歌にとって不利になります。口を動かしすぎることによって、子音で顎や舌が力んだり、口の中が狭くなったりという現象が、不利につながります。歌詞を聴衆に届けることは必要なのですが、声そのものを犠牲にしない方法を身につけていく訓練が必要です。(♭Я)