発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. 一年くらいで「オペラのアリア1曲を歌うこと」を目指したい人へレッスンメニュや、課題曲を教えてください。

. 低声・高声による違いも考慮し、現状の声の特徴から、より近い声を目標にして、オペラらしい声にするために必要な最低限にポイントをしぼり、強化する。

呼吸に関しては、呼吸練習による自然な上達からの支えの達成を待つのではなく、積極的に呼気を使って、オペラらしい声を出すための、呼吸法を練習。

口の中を広げたり、口を縦に開けたりする方法も取り入れて、オペラらしい声を目指す。

スタッカート、ロングトーンを初期から取り入れて、声のコントロールをしやすくする。

 

・課題曲

低声・高声による違いも考慮し、ご本人のご希望よりも現状の声の特徴から、より近い声を目標にして、8個のポイントの内、オペラらしい声にするために必要な最低限の24個にポイントをしぼり、強化する。

・呼吸

呼吸練習による自然な上達からの支えの達成を待つのではなく、積極的に呼気を使って、とりあえず大きめのオペラらしい声を出すための、呼吸法を練習。

・発声

オペラ以外の分野ではあまりお勧めできない(声の個性が失われるため)、口の中を広げたり、口を縦に開けたりする方法も取り入れて、オペラらしい声を目指す。

・スタッカート、ロングトーン

初期から取り入れて、声のコントロールをしやすくする。

・課題曲

いろいろな考え方があると思いますが、1年という短期では、いわゆる有名なアリアを目指すのは、よほど音域が合っている人以外には無理なので、有名ではないが音域があっているアリアを目標にするのか、オペラでは基本的にありえないことですが、ご本人の音域に合わせて、有名なあるいはご本人の希望するアリアを移調してしまうかの、どちらかになると思います。また、曲のある程度の完成を最終目標にするのでなければ、ご希望のアリアを課題にしてもよいと思います。

 

テノール

オペラ『椿姫』より、「あの人から遠く離れては、」

オペラ『愛の妙薬』より、「頬の涙が」

バス

オペラ『フィガロの結婚』より、「もうとぶまいぞこの蝶々」

オペラ『椿姫』より、「プロヴァンスの海と陸」([E:#x266D]Ξ)

 

.基本的に発声練習と曲という部分では同じですが、言語指導が入ってくる。

初期段階の生徒には『イタリア古典歌曲』の中から有名なアリア。例えばLascia ch`io piangaOmbra maifuなどを与えイタリア語に慣れる。

それに慣れたらいくつかの候補曲の中からあった曲をやります。

 

・初級

フィガロの結婚から」ケルビーノのアリア二曲、スザンナのアリア「ドン・ジョヴァンニ」ツェルリーナのアリア「コジ・ファン・トゥッテ」からデスピーナのアリア等イタリア古典作品からモーツァルト

・中級 

ドニゼッティ愛の妙薬」「連隊の娘」「ランメルモールのルチア」「シャモニーのリンダ」等、ロッシーニセビリアの理髪師」「チェネレントラ」、ベッリーニ夢遊病の女」等、プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」の簡単なベルカントアリア

・上級

プッチーニ「トスカ」「蝶々夫人」「トゥーランドット」、ヴェルディ「椿姫」「リゴレット」「仮面舞踏会」「マクベス」等、ヴェリズモ時代のアリア([E:#x266D]Σ)

 

.歌うにあたって、オペラを観たり聴いたりすることが大事です。発声は、ベルカントが基本ですが、無理のない曲を選ぶ。

原語で歌えたら、理想的ですが、イタリア語やドイツ語など、なじみのない言語のものが多いので、日本語に訳されているものでもかまいません。

オペラは高音でフォルテシモのイメージが強いと思いますが、表現はなかなか難しいです。

アリア1曲にしても、キャラクターになりきって、歌うことが大事です。オペラのストーリーを把握して、自分の歌うアリアは、どの場面か、ということがわかると、おのずと、表現の仕方もわかってきます。

発声に関しては、腹式呼吸が大前提です。遠くまで届く声、響く声を獲得していきます。そのために、響きをつける練習も必要です。([E:#x266F]Ω)

 

.・声が高い女性

オペラ「ジャンニ・スキッキ」から私のお父さん

オペラ「」からPiangelo

・声が中間音域から低い女性

オペラ「セルセ」からオンブラ マイ フ

オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」からエウリディーチェよ、どこへ

 

・男性

男性の先生に聞いていただいたほうが宜しいと思います。([E:#x266F]Δ)

 

.『コンコーネ50番』をベースに基本的な発声、フレーズの音楽的な処理を勉強します。その中で個々の声質を踏まえて、アリアや歌曲を選び、トレーニングに入ります。

 

候補曲としては比較的発音しやすいイタリア語のものがおすすめです。いきなりアリアに入るのではなく、『イタリア古典歌曲』などでイタリア語を歌う感覚に慣れていきます。([E:#x266F]Λ)

 

.女性は、最初は『イタリア古典歌曲』に入っている古典のアリア。短めのアリアから「Lasiate mimorir」を、とても軽い声の方には「Nel cor piu' non misento」を使い、発声と音楽的な部分(表現)をレッスンします。

その後「Ombra mai fu」または「Lascia ch'iopianga」に進みます。

基本的にはアリアのみを扱い、もし希望がある方にはレチタティーヴォも含めて勉強します。レチタティーヴォに取り組むことで視野が広がる、と思います。([E:#x266F]α)

 

.マスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「AveMaria」またはモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」より「Porgiamor」。

前者はどのような声質でも使えますし、後者はしっかりとした声の方はもちろん、軽い声の人でも発声的にも音楽の持っていき方も勉強になります。([E:#x266F]α)

 

. An:発声練習

喉を開けてうたう声の出し方 

テキスト『コンコーネ50番』『日本歌曲』『オペラアリア集』

オペラとは何かを簡単に説明し、人気のオペラをいくつか紹介する。

 

アイーダ」「椿姫」「蝶々夫人」「カルメン」「フィガロの結婚」「カバレリア」「ルスティカーナ」「魔笛」「ヘンゼルとグレーテル」「ラ ボエーム」「トゥーランドット

声質にあったものを紹介し、意味を説明しながら原語で歌う。([E:#x266F]γ)

 

.オペラアリアを練習する前に、『イタリア古典歌曲』をやる。イタリア語の読み方の勉強。

アリアの候補曲としては、イタリアのものをお奨めします。

 

・レッジェーロのソプラノ

モーツアルトの「フィガロの結婚」のスザンナのアリア。

リリコやメゾソプラノでしたら同じくフィガロからケルビーノのアリア。

・アルト

オルフェオとエウリディーチェ」の中のアリアなど。

・男性

フィガロや、「ドン・ジョヴァンニ」など。([E:#x266F]Å)

 

.歌える身体造り 腹式呼吸、身体のストレッチ、顔のストレッチ、発声法を学ぶ。

イタリア語『イタリア古典歌曲』「私を泣かせてください」「ラルゴ」「うつろな心」「さよならコリンド」「いとしい女よ」

歌詞だけを読んで、イタリア語の発音、簡単な文法、イントネーションを学ぶ。

歌詞の意味を把握して歌う。表情を付けて歌う。

オペラアリアに触れる。

オペラの登場人物、あらすじを学ぶ。

お勧め音源の紹介:曲を聴いて学ぶ。

 

モーツァルト フィガロの結婚 「恋とはどんなものかしら」「あの楽しい思い出はどこに」「とうとう嬉しい時が来た~恋人よここに」

プッチーニ ジャンニ・スキッキ 「私のお父さん」、

プッチーニ ラ・ボエーム「私の名はミミ」「私が街をあるけば」([E:#x266F]μ)

 

.ブレスの練習や音階を用いた発声練習を基礎練習として、身体を使った発声をする訓練をしていきます。

癖とりや声量の問題がある程度解決したら、曲を用いた練習を平行して行なっていく。

エチュードとして用いる曲は、まず、『コンコーネ50番』の少なくとも最初の56曲(できるならば15番くらいまで)

その後は『イタリア古典歌曲』も取り入れ、平行して練習していくのがよいと思います。

 

『イタリア古典歌曲』は、「Caro mio ben」、「Vittoria, mio core」、「Sebben,crudele」、「Starvicino」、「Nel cor piu non mi sento」、「Lasciatemi morire」、「Lasciard'amarti」、「Nina」、「Gia il sole dal Gange」、「Vergin, tutto amor」、「Sento nelcore""Piacer d'amor」、「Per la gloria d'adorarvi」、「Lascia ch'iopianga」、「Ombra mai fu」などの曲。

発声と言葉の処理がある程度できるようになってから、実際にアリアを用いて練習する。

ヴェルディプッチーニの曲は高度なテクニックが要求されますので、最初はモーツァルトのオペラアリアから取り組む。([E:#x266D]Я)