発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.コンコーネ50の10番の歌い方について教えてください。

A.10個のフレーズからできている曲です。始めの6個は2小節単位、残る4個は4小節単位ですが、最後だけロングトーンになっているので、余分に2小節ついています。

始めから8フレーズは、1拍目から始まり、残りの2フレーズは、3拍目から始まります。曲としては、不自然な作りですが、練習曲なので、この不自然さを、自然な流れとして聴かせなければなりません。始めの6個のフレーズには、全てスラーが付いているので、レガートで歌わなければいけませんが、4個目までのフレーズは、長い音符に挟まれて、16分音符が入っています。レガートの中でうまく処理できるように(弾み過ぎてしまわないよう)、練習しましょう。

4フレーズ目の臨時記号は、特徴的な音なので、しっかり決めましょう。5フレーズ目は、フォルテの指示どおりに入って、レガートを崩さないように気をつけましょう。

7フレーズ目は、1小節半の長いロングトーンの後の、8分音符に入り損ねないように気をつけます。ここからのレガートも、見落とさないようにして、続く5度と6度の跳躍を、きれいに処理しましょう。続く8フレーズ目の始まりは、最高音のロングトーン1小節半です。

ここからは先は、レガートは一か所しかなく、アタックも出てくるので、ノンレガートで、キビキビと音をさばけるようにしましょう。特に、9フレーズ目の頭は、初めて3拍目から始まるので、入り損ねは厳禁です。曲の最後のロングトーンディミヌエンドは、始まりを早くすると声が持たないので、遅めに始めるようにしてみましょう。([E:#x266D]Ξ)

 

A.この課題は伴奏の形と歌の旋律の違いを感じて歌うと面白くなってきます。

伴奏は常に8分音符で進行していくが歌の旋律は複付点で16分音符になっているので伴奏とは合いません。これを理解して歌う必要があります。

2小節の[E:#x266D]ミと4小節のソの音の響きが落ちないように気をつけましょう。その前の高い音と同じ場所で歌えるように。

7小節4拍のシの音はナチュラルなので高めの取りましょう。

17小節の[E:#x266D]ミの音はずり上がらずその音から入ってこれるように、その後の1819小節の下降形で響き、体の支え、音色が変わらないように気をつけましょう。

22小節と26小節の上侯形のアクセントは喉でアタックせずに横隔膜でアタックできるよう訓練してください。

28~30小節の[E:#x266D]ラの音は押さずに揺れないよう気をつけてください。([E:#x266D]Σ)

 

A.Allegro maderato(ほどよく速く)にassai(きわめて、非常に)がついているので、ゆっくりにならないよう「きわめてほどよい速さで」というテンポ感を持って歌いましょう。それにより、始めに出てくる付点のリズムも重くならず、軽快に捉えやすくなります。もし1418小節の8分音符が滑ってしまう場合には、その前後の部分だけ予めテンポを落として練習しておきましょう。

曲全体としては、アクセントがついている箇所以外は常にレガートを意識することです。1516小節は、2分音符なのと音の幅もあるので、息の流れが停滞しフレーズが途切れやすくなるため、特に意識したい場所です。

22、26小節は、音が上行形でさらにアクセントがついています。ミの音に向かってアクセントを頑張るあまり、ただ押すような声になると力みで4分音符が維持できず短い音になってしまいます。勢いにまかせずに、しっかりとした横隔膜の支えの中でアクセントをつけてください。([E:#x266F]α)

 

A.テンポとしては、比較的、快活な感じだと思います。伴奏が8分音符のリズムで刻んでいるのが特徴です。旋律は長めに伸ばす音符もあれば、付点で少し粋のいいリズムのように見える部分もあるというのが特徴です。でも、全体的にはレガートに歌うことを崩さないように心がけるとよいと思います。スラーでくくられたまとまりを大事に感じるとよいのではないでしょうか。

この曲のもう一つの特徴として、絶えず緩やかなクレッシェンドとデクレッシェンドがついていることだと思います。これを心掛けて演奏することは大変だと思いますが、テクニックを身につける上ではとても役に立つと思います。ぜひ指示を大事にして歌うようにしましょう。伸ばしている音でクレッシェンドとデクレッシェンドをかけることによって、声が凝り固まるのを防げると思いますので、かえって歌いやすくなっていくと思います。

多くの人が鬼門に感じる部分があるとしたら、17小節のミへの跳躍ではないでしょうか。この部分に関しては、音を狙うくせのある人は苦手に感じることが多いと思います。音を見過ぎて構えやすくなってしまうことが原因だと思います。コツは、その直前のラの音と口の形やポジションを変えないことです。同じラインの中で処理できるとうまくいくと思います。([E:#x266D]Я)

 

A.曲の構成としては、最初の4小節、次の4小節が対になって始まります。

9~12小節では、8小節までに上昇した音が下降しながら進行し、13小節~16小節と17小節~20小節も上向下降の音形で対になっています。18小節以降も長いロングトーンの音形が対になって構成されます。

この曲に特徴的なのは、1オクターブの上昇がいろんな形で出てくるところです。13小節のミ[E:#x266D]の音は4小節かけて17小節の一オクターブ高いミ[E:#x266D]に繋がっていきますし、2223小節にいたっては、たった2小節でオクターブに達さないといけません。オクターブの跳躍を歌うには、高い音が来てから準備をしていては間に合いませんので、フレーズの最初から、高く上がるぞという意識で歌い始めてください。

冒頭では3拍であったり、13小節意向だと6拍であったりと、長く音を伸ばす際は、拍感を失わず、その拍感も下向きのビートではなく上向きの跳ね上がるようなビート感を意識して歌いましょう。その跳ね上がりの結果、高い音に向かうようにして歌ってみてください。([E:#x266F]β)

 

A.伸びやかなメロディを大らかに歌っていただきたい曲です。複付点や付点のリズムは正確に軽快に。

小節をまたいでタイで繋がれているロングトーンは、和声がどんどん変化していきます。

和声は変化しますが、歌い手が何かの作業をして声を変える必要はありません。耳をよく開いて伴奏のハーモニーを感じていれば、自然に和声にマッチした声が流れ出すでしょう。([E:#x266F]∂)