発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.歌っている途中でリズムが狂うのですが、どのように直せばよいでしょうか。

A.音楽はいくら複雑なメロディがついても、一定のテンポとリズムパターンを乱してはなりません。とはいえ、そこで感情を込め、部分的にメロディやリズムをフェイクしてもよいのです。そのズレこそが、個性であり、歌唱の本髄なのです。しかし、テンポの感覚を失って戻れないと、元も子もありません。

ですから、最初のテンポを曲の最後まで保つこと、つまり、一定のテンポ感を保つことを身につけましょう。ドラムやベース、リズムボックスで学ぶのもよいでしょう。

自分の歌を、リズムで読んでください。楽譜をみて、メトロノームにあわせ、音符を打楽器の楽譜と思って、叩いてください。足は、小節の頭を打つとよいでしょう。これを何度もやって、体に覚えさせてから歌うとよいでしょう。

 

<リズムに強くなる>

○を何個か書いて、手で叩くところを●で塗ります。最初はメトロノームなどを使って、等間隔で刻む感覚(テンポ感)をつかんでください。慣れてきたら強拍をつける、パターンをいろいろと組み合わせるとよいでしょう。一拍を○○(表拍、裏拍)にします。

〈例〉(1)1と2と3と(3拍子で)●○○○○○、(2)1と2と3と4と(4拍子で)●○○○●○○○、(3)1と2と3と4と 5と6と7と8(複合リズム)●○○○●○●○ ●○○●○○○(♭π)

 

 

A. 歌っている途中に、しばしばリズムが狂う場合は、実際には、リズムだけでなく、テンポも狂っていることが多く見受けられます。まれにしか、リズムが狂わないのなら、リズムを修正するだけで、問題は解決します。

まずは、歌うのではなく、リズムだけを手拍子で、繰り返し練習してみましょう。早く細かいリズムなら、初めはゆっくりした速さで、ほとんど間違えないように、 遅すぎるかもしれないと思う速さで、練習します。

明らかに、リズムが乱れなくなったら、少しテンポを上げて、本来の速さになるまで、じっくり練習します。手拍子で間違えなくなったら、手拍子に合わせて、声も出して歌ってみます。これでリズムが乱れなくなれば、終了です。

頻繁にリズムが狂うケースなら、テンポも乱れている可能性があるので、テンポが乱れないようにする練習です。大切なのは、一定のテンポで歌う練習です。手拍子で、メトロノームを使って、テンポをキープする練習から始めます。 メトロノームがなくても、スマホの無料アプリなどを使って、中庸のテンポのmoderatoから始めるのがよいでしょう。テンポに合わせて、手拍子をするだけですが、メトロノームの音からずれないように、一定のテンポで手拍子することは、意外に難しいものです。メトロノームによっては、音だけでなく、光も出るものも多いので、活用すると早いかもしれません。(♭Ξ)

 

 

A.歌うとリズムが狂うというのが理解できているのであれば、改善しやすいと思います。リズムの狂いを誰かから指摘されて気づくのか、歌っているなかで自分自身で気づけるで改善の方法は違うと思われます。自分のウィークポイントが理解できていることは大きいです。

自分で気づけない場合は、トレーナーなどの第三者に細かくチェックをされながらトレーニングを行ったほうがいいです。自分の感覚と実際のリズムのズレをその場で解決していったほうがいいです。

自分で気づけるのに狂ってしまう場合は、冷静さをもって歌うことを意識づける必要があります。声や表現することに比重が傾きすぎるとその他のことがおろそかになることが多々あります。さまざまな歌手の録音と何度もコピーするように合わせて歌っていくなかでリズム感がついていくこともあります。リズム感は耳を鍛えることが重要なので、さまざまな録音を聞き比べしたり自分なりに分析してみることもおすすめします。

実際に踊ってみたり、歩きながらコピーの訓練を行うのも効果的です。体を動かしながら音楽とリズムを感覚でとらえていくと改善も早いです。

私も台本の暗記や楽譜の暗譜をする際は、歩きながら声をだしたり、ストレッチしながら読んでみたり、歌詞に身振り手振り自分なりの演技を加えながら何度も声にします。そうするとリズムや音楽、歌詞、台詞が体に入ってきて実践の場に活きてきます。(♭Σ)

 

 

A.始めからずっとリズムが狂ってしまうのであれば話は別ですが、ある程度のリズムは取れているのに途中でリズムが狂うという場合ならば、その部分だけを取り出して「部分練習」をすることが効果的です。全体を通して歌う練習だけだと、リズムが曖昧な箇所はずっと曖昧なまま残ってしまうものです。もし仮に自分では曖昧と思っていなくても、途中から歌ってみるとリズムが不安定になるとしたら、そこはしっかり定着していない部分なのです。

部分練習は、曖昧な箇所だけにフォーカスするので、リズムが違った、遅れていた、または急いでいた等の原因が具体的に見えてきます。また、何回も同じ部分を反復することで、ひたすら全体を通して歌う練習よりもはるかに短時間でリズムに馴染むことができます。(これはリズムに限らず、音程・テンポ感・発音などにも同じことが言えます。)テンポの速い曲のときは、部分練習自体の速度を少し落としてていねいにリズムを定着させ、慣れてきたら元のテンポに戻す等工夫しながら練習してみてください。(♯α)

 

 

A.歌っている途中でリズムが狂うとのことですが、どのように狂ってしまうのかによって考えられる原因と対策が異なるかと思います。自分の歌い方の特徴を録音などで分析し、どのような狂い方になっているか確認してみましょう。

例えば、どんどん駆け足になりすぎてしまうような場合は、ブレスも歌い方も落ち着いて行うことを心がけたほうがよいと思います。

反対にどんどん遅くなってしまうような場合、考えられるのは、自分の声を確認しながら歌うような状態になって、どんどんテンポ感が遅くなってしまっていないかということです。この場合、自分の声を歌いながら確認しないよう注意が必要です。

基本的には、楽譜があるものは、楽譜に書かれたリズムに忠実に再現することを、焦らずゆっくりなテンポから慣れていくように心がけるとよいと思います。そのうえで、言葉の持つフレーズ感を蔑ろにせず、しっかり活かすことが大切です。

人によっては、声が音として鳴りきらない状態になってしまうと、滑ったような感じとなり、リズムが不明確に聞こえるような場合があります。鳴ったり鳴らなかったりという状態を改善し、楽器としての資質を高めることが改善につながるでしょう。(♭Я)

 

 

A.まずは基本的なソルフェージュの力を見直しましょう。その曲をリズムだけで手を叩いてみて、よどみなく最後まで間違えずに叩けるでしょうか。

普段から、実際の歌よりも難しいリズムを叩けるようにしておかないと、歌の中で出てきたときにどぎまぎしてしまいます。そのためには、ソルフェージュ、特にリズムの課題集で、よどみなく叩けるようにしておきましょう。

正確に叩けるようにするのはもちろんですが、メトロノーム的な正確さは音楽的でないことがあります。一流のヴォーカリストは必ず、メトロノーム通りではない、独特のリズム感を持っています。少し食い気味に進むところ(8割ほど)とフレーズの終わりなどで少しゆっくり時間をかけるところ(2割ほど)があります。名歌手の録音をよく聞いてみること、教師にリズムのフレーズづくりを習うことです。

基本的なリズム感はあるのに、歌になると、特に本番だけ、狂ってくるという人もいるでしょう。この場合は、感情が入りすぎて乱れてくるのです。悪いことではありません。冷静なアンテナを残しておき、客観的に自分を見られるようにしましょう。(♭∴)

 

 

A. 歌いながらリズムに合わせて手をたたいてみたり、歩いてみたり、指揮をしてみると直ります。

しかし、それがうまくできないからリズムが狂うのなら、難易度を下げて段階的に取り組みましょう。

まずは伴奏を聞きながら、歌わずに手だけたたいてみます。たたき方はいろいろ試しましょう。4ビートなら1と3で叩いたり、裏拍の2と4で叩いたり、「1と2と3と4と」の「と」のところだけ叩いてみたりと、パターンを複数試しましょう。一番しっくりくるリズムはどれでしょうか。

次はその「しっくりきた」リズムで手をたたくのに合わせて、歌詞だけを読んでみましょう。歌わなくていいです。ただし音をのばすところや休むところは歌の通りのリズムで読みます。ここが一番重要です。

最後に手をたたきながら歌ってみましょう。うまく行かなければ、歌詞は抜きにして「ラララ」などで歌ってもいいです。

「手をたたく」のができたなら「歩く」や「指揮する」に変えて試しましょう。どこでズレるのかがだんだん見えてくるはずです。たいていの場合、音を長く伸ばしすぎたり、息を吸うのが遅かったり、細かな音が歌いこなせていないのが原因です。

また、リズムが狂うのには、別の原因も考えられます。一所懸命に歌いすぎて周りの音が聞けていない場合です。聞こえないものには合わせようがありません。「周りの音をよく聞く」というのは、集中的に音を拾いにいくということではなく、ゆったりと聴覚を開いておいて遮断しないということです。頑張りすぎない余裕が肝要です。(♯∂)