発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.独習でもヴォイストレーニングは正しく身につくものなのでしょうか。よい教材があったら教えてください。

A. ヴォイストレーニングは、基本を執拗なまでに繰り返す必要があります。ときには単調に感じて、やめたくなるときも出てきます。そういうときに自分に厳しくできる人でなくては、独習は難しいでしょう。この厳しさというのは、ストイックということよりも、より厳しい判断基準をもって行なうということです。判断基準そのもののレベルアップこそが、決め手です。独習には、あなたにプロの耳が必要です。

レーニングというのは基本的には自分でやるものです。それをチェックしたり、新しいアプローチやヒントを授かったりするために習いにいくのです。

そこで、より深いこと、本物のこと、ある種の真理のようなものに触れ、自分の毎日行っていることの意義や効果を再確認し、そして、さらに修練を積んでいくわけです。

ということで、私は、そのようなことを自分で盗める(自主的に学べる)場でなくては、あえて学びにいく必要もないと思います。つまり、絶対に一人でやったり他のところでできないことのためだけに、レッスンを使うべきだと思っています。そこにいることで何かトレーニングをやっているつもりになるような、安心感しか与えないところでは、楽しい、落ち着く、親しみがわく。そして、当の目的とそれているのにさえ、気づかなくなっていきます。

何事も、学んだから必ずしもよくなるのではないということを忘れないでください。長く学ぶと、何事も学んでいない人よりもすぐれますが、世の中でどのように通用しているかと常に問わないと、必ずおごりや慢心が入ってきます。

それも含めて本人の力次第なのです。自分でできることはすべて自分でやり、自分でできないことだけのために、トレーナーの才能をあなたが最大限に引き出して、使うことです。

参考書には、一長一短があります。ことばや内容をうのみにしないことです。世の中には、そういう考え方や、そのように考えている人がいるという程度に考えてもよいでしょう。本を読み、スクールを転々としてはいつも悩んでいる人がいます。どこにも答えはありません。

すでにあるものを習得するのでなく、あなたが創りあげるのです。正しい方法、間違った方法とか、よい先生、悪い先生とかではなく、世の中すべてから、あなたが生かせるものをよい方に生かしてものにしていくことです。私がみてきた限りでは、世の中にはその逆のことをやっている人ばかりなので、そうすれば必ず、やっていけるようになるのです。

何もないより、少しでも本や教材が出ていることは、刺激にも勉強にもなります。拙書も参考にしていただければ幸いです。(♭π)

 

 

A. 独習でのヴォイストレーニングは、なかなか難しいものがあります。目標が高ければ高いほど、独習は難しくなります。逆に、目標がそれほど高くなければ、やり方に注意をすれば何とかなります。

独習でない場合は、先生やトレーナーがトレーニングをしてくれるのですが、それを自分だけで積み重ねていくので指導者の代わりを自分がしなければなりません。

具体的に何をする必要があるかというと、まず、自分の声を客観的に聞かなければなりません。つまり、自分のトレーニングを録音して、よく聞くことです。熟練したトレーナーの耳は残念ながらないので、目標としたい歌手などの声を何十回、何百回と聞いて、自分の声と聞き比べ、自分の声を近づけていきます。

次に、トレーニングのメニューです。これは、本などで外からの情報を集めなければ、どうしようも、ありません。今は、ネットやYouTubeなどで、たくさんの情報が有りますが、昔と違い誰でも発信できるので、他の分野と同じように、全てが正しいとは限らず、むしろほとんど、間違っていると考えた方がよいかもしれません。参考程度に、留めましょう。出版されている本ならば、そられなりの信用があるので少し安心です。できれば、なるべく多くの発声トレーニングの本に目を通して参考にしましょう。

そして、最も大切なことは、喉を傷めないことです。用心し過ぎると、なかなか進歩しませんが、不用心で喉を傷めるよりは安全です。それでも、独り善がりで喉を傷めるほどではなく間違った方向に進んで、かえって声が悪くなってしまうケースもあるので注意が必要です。

やはり、完璧な独習には限界があるので、少なくとも数ヶ月に一度位は、専門家にチェックしてもらうことが、お勧めです。(♭Ξ)

 

A. 声楽の場合は基本的に独学は難しいと思いますが、ポップスの場合は否定できません。カラオケ上手な人が必ずしもヴォイストレーニングを受けているとも限りませんし、テレビで見かけるポップス歌手よりも、いい声のアマチュアや歌が上手なものまねタレントさんなどはたくさんいます。その意味ではあなたの目的で回答が変化するかなという印象です。

ジャンルを考えずに基礎的な部分を知り、トレーニングするのであれば極端な言い方をすれば、どの教材でも学びはあります。そして、その教材はおそらく一生使える教材に変化します。それほど声を学ぶというのは制限がなく、一生勉強だからです。むやみに本や知識だけが増えてしまうのもプレイヤーとしてはいかがなものかと思います。プレイヤーならば知識よりも声がよければいい、人の心をうごかす歌が歌えればいいです。

私自身は25年以上前に買ったコンコーネ50番という教材を今でも定期的に自分のためのエチュードとして使っています。10代半ばで歌っていたときは、ただただ声をだすだけの教材でした。そしてそこに面白さはなかった。しかし40代になり、10代のような声のパワーはありませんし、仕事や稽古で疲れていると回復も以前よりも遅いです。その意味では今の年代として歌うためにより、発声を考え、体や呼吸に意識が必要になります。ずっと歌っている教材だからこそ、体の変化がわかりやすいです。

そして教材というのも出会いなので、いろいろ読んでみて自分と相性がよさそうと思える一冊を大事にトレーニングすれば、それだけで多くの学びを得られるでしょう。また、その本を読みこんだという思いが出てきたり、モチベーションを上げるためならば次の本にいっていいと思います。まずは、研究所の本でもいいですし、大きな書店にはヴォイストレーニングのコーナーも増えてきているので、目を通してみてください。(♭Σ)

 

A. この質問に対してはイエス・ノーで簡単に答えることはできないかと思います。世の中には生まれつき身体に恵まれ、歌う感覚やセンスの優れた人はいるものです。もちろんそのような人は滅多にいないかもしれませんが、独習だけでは正しく身につきませんと言い切れる根拠も持ち合わせていません。

ですが個人的に思うのは、独習してきたものが正しいかどうかに関わらず、やってきたこと全てがその人の糧になっているということです。もし仮に正しく身につかなかったとしてもそれが無駄ということはなく、その方法は合っていなかった、無理な発声をしていたというその経験を元に先に進んでいけばよいからです。

ただし、そこを自分ひとりで修正していけるかというと簡単ではないでしょう。私たちは自分の声を客観的に聞くことができないので、どうしても偏った判断になりかねないからです。自分よりも研鑽を積んだ人からの客観的な意見や指導を仰ぐことは、その偏りを修正する大きな助けになることは間違いありません。

教材に関しては、私自身が独習のみでやってきていないためご提案するのは差し控えます。(♯α)

 

A. 自分の声や体の状態を正しく客観的にとらえるということはなかなか難しいことと思います。声に関していえば、自分で自分の生の声を聞くことは不可能です。アスリートがトレーナーや指導者とともに競技に励むのと同様に、声も客観的に聞いてくれる人がいた方が近道だと思います。一人でやっていると、いいと思っていても、変な癖がついたり、少しずつ方向性が違っていったりすることがよくあります。

あなたが、どこまでのレベルを求めるかによりますが、巷にあふれるボイトレ本を一冊やってみて、ある程度のレベルアップは見込めると思いますが、それと同時に、それなりの癖もついてしまうことも懸念されます。

教材もその人の求めるレベル、ジャンルによって違うと思いますが、クラシックであれば、私は『うまく歌えるからだのつかいかた』(川井弘子著)という本が非常に参考になりました。体のことをしっかり説明しています。実践編では動画もついています。とてもいい教材で勉強になると思いました。

それでも声を出すことに関しては独学では難しい面を感じました。本で勉強しつつ、客観的に指導をしてくれる人と一緒に勉強できればなおいいと思います。(♯β)

 

A. どの程度の目標を達成するために行うかで意見がわかれる部分ではないかと思います。スポーツに例えて、未就学児の遊び程度で満足なのか、それとも大人がプロとしてやっていくレベルを求めているのか。ここから先はある程度のレベル、中~上級を求める人向けという観点で意見を述べます。

ヴォイストレーニングの経験者ならば、自分の特徴や癖、改善点を指摘してもらうことが可能なので、それを自分で正確に理解している状態であれば、ある程度は自分で改善に努めていくことは可能かと思います。しかし、自分の欠点や特徴を客観的な立場で正確に理解し、それを改善のために続けていくということは、初心者には非常に困難であり、相当経験を積んでいたとしても思うようにいかないのが現実です。

また、いろいろな文献を読んでも、その内容を正確に理解できているよりも、頭でっかちになっているだけで、必要な情報を必要な場面で必要なだけ使うということができている人は少ないように感じます。むしろ勘違いの知識が増えてしまっている人が多くなっているようにも感じます。

自分の向上心が高い人であれば、独学よりもレッスンを有効活用し、自分にとって有意義なトレーニングを行うことの方がはるかに身のためになると、私は思います。(♭Я)

 

A. 独習できる天才はいます。ただしそういう人は、正しいとか正しくないとか気にせずに自分で突き詰めるでしょうから、一般論は意味がないと思います。あなたが「独習でヴォイストレーニングは正しく身につくのか」と問いを立てた以上、あなたには迷いがあるわけで、だとすると独習は難しいと思います。一般には、迷いへの対処と、モチベーションの維持のために、トレーナーが必要です。

しかしトレーナーに会う前に、自分でできる努力は全部自分ですることです。喉を傷めない程度に、発声練習をしまくる。悪い癖がつくことを恐れる人が多いのですが、一般にはそんなことよりも発声練習時間が少なすぎます。とにかく大きな声を出せばよいのです。

よい教材を探すことも自分でできることの1つでしょう。しかし探すも何も、どうせ100冊くらいしかないでしょうから、全部買って全部やってみればいいのです。コンコーネも、イタリア歌曲も、通常のソルフェージュ能力があれば初見でカタカナで歌えるでしょうからどんどん歌うんです。一日10冊はできます。

そうして1人でできることは全部やってみてもまだ何かが足りないと思ったとき、師を見つけてください。また、人から学ぶことが大切です。テクニックはすべて独学で身につけた天才も、いろんな分野のいろんな人と交わることで何かを得ているはずです。(♭∴)

 

A. 声のことに関しては、独習はお勧めしません。理由は、第一に声を出すために必要な筋肉や呼吸器が胴体部分にあるため、手足の動きのように客観的な観察が難しいこと、第二に声は体内で生成されるため、体外に響いた状態の声(=他人に聞こえているあなたの声)を自身で正しく聞くことは不可能だからです。

また、声帯は替えのきかない楽器です。無理な方法での独習で取り返しのつかない損傷を負う人を見かけることがあります。

トレーナーが勧めるやり方を試してみる→自分で復習する→次のレッスンで聞いてもらい軌道修正→自分で復習する、というサイクルが一番効率的で安全です。そのサイクルの中に教材を取り入れることは大いに役立つと思います。

レッスンを受けることが困難な場合の独習方法としては、自分のパフォーマンスを録音。録画して観察するのが一番です。きっと自分が思っているよりも数段下手でショックを受けると思います。そのくらい声を客観視するのは難しいのです。(♯∂)