A. ヴォーカリストは身体ひとつですべてを表現する声の演奏者です。トレーニングから目的を定めるなら、ヴォーカリストとしての身体(声、感覚、歌)ができていくことが、第一歩、さらに歌は芸ですので、客を魅了する力がいります。しかし、その答えはあなたの中にあって、その器の大きさを決めるのもあなた自身です。
感情を込め表現するほどに声は朗々とでるものではなくなります。それでも日夜多大な努力をして培ってきた発声や技術は、それを突き破って聞いている人の胸にダイレクトに響くのです。ヴォーカリストが表現するということは、声を殺して歌を生かすこと、さらに、歌を殺して心を伝えることなのです。発声法でなく声の力、歌唱技術でなく歌の力、ステージの演出でなく、あなたの心と音楽が、人に伝わる力となるよう考えてみてください。
この扉は、毎日たゆまぬ努力をしている者にしか開けられません。
熱き心をもつ人との出会い、新たなる才能、作品が世の中にどんどん出てくることを楽しみにしています。
こういう質問は、よくあります。しかし、ヴォーカリストはなるのでなく、そうあるものです。(♭π)
A. まず必須なのは、日々のトレーニングでしょう。もちろん、チャンスをつかむための行動も欠かせませんが、せっかく訪れたチャンスを、活かす実力がなければ何の意味もなくなってしまいます。ですから、日々の鍛錬は、とても重要です。声のトレーニングに始まって、曲を歌うトレーニング、耳のトレーニング、楽譜に関するトレーニング、数え上げていくと、どこまでもキリがないように感じるかもしれません。なかには、なかなか進まない苦手な分野のトレーニングも、あるかもしれません。人それぞれですが、苦手な分野をがんばれる人は、なるべく努力しましょう。そうでない人は、得意な分野をしっかり伸ばしていきましょう。最近は、ダンスができないと、不利になる場面も多いかもしれません。ダンスの練習も、たくさんしなければならないかもしれません。ただ、ヴォーカリストであることを忘れずに、誰よりもヴォーカル面では負けないつもりで、日々のトレーニングを大切にしましょう。このようにして、日々のヴォーカリストとしてのトレーニングを日課にしながら、チャンスをとらえるアンテナも張り続けていくと、めぐってきたチャンスを、つかむことができるでしょう。(♭Ξ)
A. ヴォーカリストをどの定義でとるのかで意味合いがずいぶん変化します。お金を稼ぐプロと考えるのか、アマチュアもふくめたプレイヤーとしてのヴォーカリストを指すのか。立ち位置や目線で意味合いが変わるご質問です。
実力があるということと、いわゆる「売れる」という意味でのプロは意味では、ずいぶん違います。声の実力が凄くても「売れる」という意味では難しい人もいますし、逆の方もいます。しかし私個人の見解としてはどの立ち位置にいたとしても、自分がヴォーカリストという自負がある方は、引退するまで声のこと音楽のこと、ステージングに悩んで挑み続けます。
それをやり続けられるかがヴォーカリストであるかどうかだと思います。それがプロとしてお金を生むものであるかはまた別の問題ですし、それは他人の評価によるところが大きい。しかし自分の中でもヴォーカリストがしっかりとあるならばその人はヴォーカリストだと思います。
問題は「ヴォーカリストになれるか」の部分よりも「どうすれば」の部分だと思います。どうすればと悩んでいる時点で時間がもったいないです。その時間をトレーニングにあてましょう。またはたくさんのアーティストの歌を聞き比べして、自分の感性や耳を鍛えてください。
本当のヴォーカリストは「どうやったらヴォーカリストになれるか」など考えていません。自分を鍛えるためにやることに追われているからです。悩んでいる時点でまだやることがたくさんあります。今からでも悩む暇がないくらいトレーニングに明け暮れてみてください。(♭Σ)
A. 辞典でヴォーカリストを調べると声楽家・歌手・シンガーと出てきます。いろんなジャンルを含めた歌い手の総称としてヴォーカリストというのであれば、あまりにも幅が広いため、目的や活動も知らないなかでは何とも言いようがありません。
どのジャンルにしても、プロの歌い手になるためには技術力や表現力を磨くことが必要です。その努力の積み重ねという下地があることが大前提なので、「どうすれば」と聞く以前にやることは目の前に山積みだと思います。
一方で辞典の意味とは少し違って、ヴォーカリストはバンドのメンバーでヴォーカルを担当する人のことを指す意味合いでよく使われます。もしそちらであれば、プロ・アマチュアに関係なく、一緒に演奏できる仲間と出会い、そのグループ内であなたが歌を担当するなら、それはもうヴォーカリストではないでしょうか。どちらの意味合いにしても、まずは自らが行動を起こしていくことだと思います。
(♯α)
A. 売れる、売れないという話は別として、「ヴォーカリストになりたい」という気持ちがあれば、誰でもヴォーカリストになれる可能性はあると思います。その上で、人前で歌うための訓練を積み続けることや多くの公演数をこなせる体力や技術面、聞き手を惹きつけるようなパフォーマンス力など、どこまで自分自身と向き合って聞き手に対して価値のあるものを提供できるかどうかということが大切になると思います。
売れるか売れないかの話になると、どのような曲を歌うのか、自分と曲が合っているのか、聞き手のニーズに合っているのか、メディアへの露出の頻度、営業、SNSのフォロアー数など、昔に比べてさまざまなことが複雑化しているので、一概に答えを出すのは難しくなると思います。趣味の多様化が進み、昔に比べてモノが売れない時代。その中で、自分の存在をどう売り込んでいくのかということを考える必要があると思います。
しかし、根本には、自分が歌いたい、歌っていて楽しいという気持ちがなければ聞き手に届くものも薄れると思いますので、この気持ちがあるのかどうかが重要に思います。
(♭Я)
A. 技術面なのか、プロデュースの面なのか不明なので両面でお答えしていきますね。
プロのヴォーカリストということでよろしいでしょうか。(おそらく自称ヴォーカリストでしたら誰でも名乗れますものね)プロのうち、一番低いハードルですと、どなたかより依頼が発生して、契約し、ギャランティをいただいて初めてプロと呼べるのかもしれません。これは大学の文化祭でも老人ホームでも地域のお祭りでもレストランでも、いたるところにチャンスは転がっているように思います。もう少し、マスを相手にしていくとなると、レコード会社の行っているオーディションを受けてプロになる方もいると思います。今ですと、YouTubeが断然活躍の場として利用しているアーティストが多いですね。
そして、技術面においては、歌唱技術をとにかく磨く必要があります。声の基礎的なトレーニングを積み、自分オリジナルの表現力を身に着けて、自分も他人も納得のいくパフォーマンスができているかどうかということが大事です。自分が納得いくパフォーマンス(声の技術は安定しているか、すぐ疲れたりせずにワンステージ歌い切れるか、音程、表現、心に響く歌が歌えているか)ができていればもうヴォーカリストだと思います。練習、研鑽、勉強、突き詰めることが大事だと思います。そして、どんどんコンテストや上記のような発表の場を設けていって、自ら発信していきましょう。(♯β)
A. 毎日私も自分に問うています。「私はヴォーカリストだろうか」「私はヴォーカリストになれているのだろうか」。ここではヴォーカリストとは職業名ではないと思います。つまり、それで生活が成り立っているのかどうかはあまり問題ではないように思います。まったく名前も知らない、路上ライブの歌声に耳を傾け、感動したことがあるからです。お金を多く受け取って歌を歌っていたとしても、聞く側に何も与えない歌唱も多いのではないでしょうか。
例えば、昔は優れたヴォーカリストであったかもしれない「大御所」、またお弟子さんが多い「先生」。確かにそれで生活は成り立っているかもしれませんが、「ヴォーカリスト」と呼んでいいかは疑問に残ります。つまり、先に答えなければならないのは、次の質問です。
「ヴォーカリストとは何なのでしょうか。」作曲家なら曲を作ります。画家なら絵を書きます。料理人なら料理を作ります。一方ヴォーカリストの放った声は、一瞬の間だけ天に放たれ、そして消えていきます。まるではかない一生のように。
私はこう考えます。それでもいいではないか、と。師によると「放たれた音は永遠に宇宙空間に残る」のだそうです。それならその一声に命を懸け、磨き続けていくこと。それだけで充分ではありませんか。(♭∴)
A. ヴォーカリストは医師や弁護士のような資格職ではありませんので、極論を言えば「私はヴォーカリストだ」と宣言してしまえばそれでOKなわけです。しかしお尋ねになりたいのはそういうことではなく、「ある程度売れたい」「デビューしたい」「食っていける」というレベルのヴォーカリストになる方法だと思います。
それについては「わからない」とお答えするほかありません。私はクラシックの歌手で、この業界は有名音楽大学を卒業したり留学することで得られるある程度の信用や、オペラ団体への所属など、まあ真面目に取り組みさえすれば貼ってもらえる「声楽家」というレッテルがあるからです。その点ではポップスの世界に比べてイージーかもしれません。
しかし、ジャンル問わず第一線で活躍している人の共通項は私にも見えています。
成功する人はレッスンや稽古に遅刻しないです。期限や約束を守ります。よくわからない理由でレッスンを休んだりしませんし、休む場合は事前に報告があります。稽古には暗譜してきます。NGが少ないです。判断が早く迷いません。心当たりがある人はそのあたりから改善しましょう。
そして冒頭に書いたことは、あながち極論ではなく、思い込みや勢いが大切です。いつまでも「私なんて」「もっとうまくなってから」と逡巡しているうちにあっという間にお年寄りです。時間をかければ上達しますが、経験は首を突っ込まないと積めません。事務所に売り込むなりオーディションを受けるなり動画をアップするなり、チャレンジしていける人が強いと思います。(♯∂)