発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.喉の病気以外で発声や歌唱に影響する病気やケガがあれば教えてください。

A. 声は、身体が楽器なので、身体のどの部分の不調でも、大なり小なり、発声への影響は、出てきてしまいます。特に呼吸に関係する腹回りや胸回りのケガや病気は、オートマティックに発声を支える部分なので、何のとどこおりもなく使えないと、声が乱れる原因になります。

手づくりの小さなコンサートなどでは、舞台装置や音響装置などの搬入搬出を、出演者も手伝わなければならなかったりしますが、そんなときに張り切りすぎて、ケガはしないまでも、酷い筋肉痛になったりします。中には不慣れな作業の連続で、肋骨にヒビが入ったりもするので、充分に注意が必要です。

搬入搬出とは関係ありませんが、意外に少なくないのは、ぎっくり腰です。無理な歌い過ぎなどでは、どうしても喉を守るためや、発声の質を維持するために、お腹を使い過ぎてしまいます。そのつけが、ぎっくり腰として帰ってくることもあります。

同じように、たとえとてもよい声でも、不慣れな喉の使い方をすると、寝違えという形で、首回りがこわばって、動かなくなったりします。どちらも、伸び伸びとした楽な発声からは、遠くなってしまうので、充分なケアで、避けるようにしましょう。また、多くの人がかかりがちな鼻炎は、楽なよい発声の、一番の敵なので、お薬などで、早めに対処しましょう。(♭Ξ)

 

A. 会話するときよりも歌唱時の方が口を開ける必要があるため、顎の動きに問題がある場合は歌唱に影響が出てしまいます。たとえば、顎関節症または顎関節症気味だという方も含めてレッスンで拝見していると、口を開けたときに骨の音が鳴るのを気にされていたり、無意識的に顎をいたわるように歌っていることがあります。そのことが発音や旋律の流れを遅らせたり、口周りに力みが入る原因にもなります。

その他によくお見受けするのは、腰痛やぎっくり腰です。高音域で身体を踏ん張りたくても、腰の痛みを感じるのでいつも通りに歌うことが難しくなります。また、喉から一番遠い部位である足首の捻挫や足指のケガなども同様の理由で歌唱に影響します。

病気やケガでなくても歌唱に影響することは日々あります。慢性的に首や肩周りがガチガチに固まっていたり、寝不足が続くような生活なども歌唱には大いに影響するので、日常的に自分の身体をよい状態に維持することが大切です。(♯α)

 

A. まずは、「声が理想的な状態で出せる」=「その人の持つ最高のポテンシャルを発揮できる」ための条件としては、できる限り心身ともに健康であるということです。身体面にせよ、精神面にせよ、何かしらの不具合が生じているときというのは、少なからず声にも影響を与えます。病気の面で言えば、風邪や花粉症などの比較的軽度なものでも喉や鼻などに影響が出れば、もちろん声にも影響が出ます。また、花粉症はわかりやすい例えですが、食べ物のアレルギーを持っている人などもその食べ物を摂取してしまえば影響が出てしまうかもしれません。喘息などを患っている人は、症状が出てしまうと、呼吸がしにくく(浅く)なったり咳で喉が荒れやすくなるリスクがあります。怪我でも、骨が脆くなってくると、咳や転倒などで、肋骨にヒビが入ったり骨折することもあり、呼吸をすることが辛くなってしまいます。他にも考えられる症状はたくさんあるかもしれません。心身ともに健康に暮らすためにできることは何かを考えながら取り組むことが大切だと思います。(♭Я)

 

A. 歌の先生で、足の指が骨折しただけで、声に影響があると仰っていた方がいました。そのくらい、声はデリケートであり、全身の統合性のもとで成り立っているのかと思ったことがあります。

顎関節症は、口の開け閉めが困難になるため歌唱に影響すると思われます。舌の疾患も、発音に不可欠な部分なので影響するでしょう。肋骨のけがは呼吸に影響しますし、背骨や腰は声を支えてくれる筋肉なので、痛めたら声は出しにくいと思います。また、メンタル的な原因で失語症になったり、小児の場合は場面緘黙症という話ができなくなるという症状が挙げられます。(♯β)

 

A. 意外と、どこの病気でもどこのケガでも、影響は出てきます。たとえば、足の骨折。うまく支えられないので、いい声が出ません。逆に、病気やケガをしたのに全く声に影響がない人は、口だけの薄っぺらい発声だったのかもしれません。

精神面の健康はとても大切です。歌を歌って生きていこうとしている人はもともと健康な精神の人が多いですが、たまたま目撃した場面からトラウマを負ってしまうなど、何が原因となって心の病に陥るかわかりません。恥ずかしくありませんので専門家の力を借りましょう。

このように、声というものは病気やケガの影響を受けやすいものですが、悪いことばかりではありません。人生を変えるきっかけになることがあります。昨日できていたことができなくなる、それは大きな発展のチャンスを秘めています。病気やケガが治ると、うれしくて、感謝の気持ちでいっぱいになると思います。でも普段から、健康に感謝できている人ってほとんどいませんよね。病気やケガになる前から、自分なりの身体の健康の状態に感謝して日々を送りましょう。(♭∴)

 

A. 自分の知る範囲での回答となりますが、以下のものが挙げられます。

・肺や気管支の炎症

ジストニア

パーキンソン病

ジストニアパーキンソン病に関しては治療法が確立されていないようですので不運としか言いようがありませんが、肺や気管支の炎症は治る病気かつ発声への干渉が大きい症状です。軽視せずしっかり完治させることが重要と考えます。

また、病気とまではいい難いですが、以下のような状態も発声に大きく影響します。

・慢性的な疼痛(腰痛、五十肩など)

・ホルモンバランスの変化(更年期障害など)

・精神的なもの(イップス

発声は究極は全身運動です。疼痛、特に腰痛はあちこちの筋肉の動きを制限してしまうので発声に影響があります。五十肩や更年期障害に関しては、時間が解決してくれる部分もありますので、焦らずやり過ごすのがいいと思います。

私は発声において一番大きな障害となるのは、イップスだと考えています。簡単に言うと、何らかの精神的な原因によって、身体には問題がないのに声がうまく出せなくなった状態のことです。なかなか一人では解決できないので、信頼できるトレーナーと二人三脚でじっくり乗り越えることが大切です。(♯∂)