発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.ステージで動きながら歌うとうまく声が出ないのですが、どのようにすればよいでしょうか。ステージでも基本姿勢は守って歌うのですか。

A. 身体を動かしながら歌うと、声が定まりにくくなります。しかし、基本姿勢は基本であって、ステージの上でそれで歌いつづけるわけではありません。激しい動きをしながら歌うと、息が乱れ、声も乱れてきます。身体を動かすために、呼吸が多く必要になると、呼吸も乱れかねません。発声と腹式呼吸をしっかりと、基本姿勢で身につけることによって、少しずつ克服しましょう。自分の状態を知ることです。

最初は、上半身と足腰をそれぞれに、安定させる必要があります。上半身が動くと、どうしても声まで揺れやすくなります。首が楽になっていないと詰まった声になってしまいます。

たとえば、寝ころがって、両足を動かしながらとか、腹筋で両足を少しもちあげての発声も(できたら息吐き)試してください。多少の動きをつけながら練習するのは、かまいません。

歌は声の応用、ステージは、歌の応用です。弾き語りでも、ギターと歌は、最初は別々に練習するでしょう。同時に全てやるのでなく、それぞれの目的を定めて、個別に対処するのがトレーニングです。この問題は、基本と応用との違い、習得するためにするトレーニングとそれを自由に応用する歌との違いです。(♭π)

 

A. ステージでも基本姿勢を守って歌うのが、一番いい声を出すのには、最も楽な方法です。

戦前から戦後にかけて、東海林太郎というクラシック畑から流行歌歌手になった男性歌手がいましたが、いつも燕尾服姿で、マイクの前で直立不動で歌うスタイルが、話題になりました。

しかし、どうしても動かなければならないときは、一番大切な部分が崩れないようにします。それは、喉と呼吸のつながりです。そこが崩れてしまうと、いい声は出せなくなってしまいます。動いているときに、どうしても崩れてしまうなら、せめて歌う直前には、立て直す必要があります。また、動きながら歌わなければならないのなら、喉と呼吸のつながりが、離れてしまわないように、うまく立ち回る必要があります。しかし、これは激しく動き回ることではなく、激しく動き回ったとしても、歌うときにはスローな動きに落ち着いていなければ、成り立たない条件です。

最近は、ダンスが流行っていて、ポップスなどでは当然のように踊り回ります。しかし、あのような激しい動きでは、なかなかいい発声を維持するのは難しく、当然のように、発声は乱れて、声はなくなっていきます。

昔の歌手は、身振り手振りで、歌の感情を盛り上げたり伝えたりはしても、踊るのは、まわりで取り囲むダンサーたちでした。決して、声を犠牲にするようなことはしませんでした。(♭Ξ)

 

A. ステージ上では、演目によってはさまざまな動きや体勢になって歌うことがあります。もしあなたの思う基本姿勢を守ったことで、ステージで自由な動きができなくなっては本末転倒です。決まった姿勢ではないとうまく声が出ないというのであるなら、その状態は改善した方がいいでしょう。

本来なら、歌うための「身体の支え」があれば、動きながら歌う方が身体が働きやすい(身体の反応がよくなる)ので、むしろ歌いやすくなるという感覚になるはずなのです。レッスンで身体を使って歌うという取り組みをしているのは、歌うときにより自由度を上げることを狙いとしています。つまり「身体の支え」があれば、ステージ上での振る舞いも歌いながら自由に行えるということです。

現段階では動きながらだと歌が不安定になる、歌いにくいということなので「身体の支え」が弱いのだと推察します。引き続き基礎的な練習が必要です。その上で、動きながらでも「身体の支え」が発動するよう、まずはステージではなく普段の練習時から動きを伴う中で歌うという練習を取り入れていくといいと思います。(♯α)

 

A. レッスンやトレーニングで行っていることとステージで行っていることでは、同じことを行っているでしょうか。ひょっとしたら乖離が生じていることが原因ではないかと思います。もちろん、ステージでは演出的なこともありますので、レッスンやトレーニングで行っている通りのことはできないのかもしれません。だとするならば、レッスンやトレーニングの時点で、基礎力を高めるトレーニングとは別に、応用編としてステージを想定した演奏方法を取り入れて、より実践的な訓練を行っていくことが望ましいと思います。

姿勢が原因のことも考えられるかもしれませんが、それだけでは解決しない問題もあるのではないかと思います。レッスンやトレーニングの基礎的な練習ではできていることがステージではできなくなってしまう原因は何かを、こうしたシミュレーションの中で洗い出し、その原因と対策を打つことが根本的な解決に繋がっていくのではないかと思います。実地で得られることとフィードバックすることは、非常に重要なことです。(♭Я)

 

A. ミュージカルやオペラを歌う方は踊りながら、または演技をして自由に動作をしながら歌います。発声の基本が相当鍛錬されて、身体に曲がしっかり入っており、どんな状態でも歌えるところまで落とし込んでいるから可能なことなのだと思います。ステージでも体幹をしっかり保ち、声の支えさえしっかりできていればどのように動いても歌えると思います。

しかし、まだそこまで基本が至っていないと言う自覚があるのでしたら、基本の姿勢を保って歌うことをおすすめします。体幹の軸が少しずれただけで、その分の歪みを他の筋肉が支える羽目になり、パフォーマンスとしては不利な状態になるからです。(♯β)

 

A. ステージで、正しい姿勢で正しい発声で歌うなんて、できないほうが普通です。最も正しい姿勢・発声で歌いたい職業であるオペラ歌手(?)でも、寝ころんで歌えとか、後ろ向いて歌えとか、演出家からあり得ない指示がたくさん飛んできます。なんとか工夫して頑張るのです。

そのためには、普段のトレーニングでは、正しい姿勢・正しい発声で取り組むことが必要です。野球のファインプレーも、ファインプレーを目指してアクロバティックな練習をしているわけではありませんよね。地道な基礎訓練をしていると、いざというときに思ってもみないことができる、ということだと思います。

副科でヴァイオリンを習ったときに先生に言われたことを思い出しました。「ヴァイオリンの基本姿勢は立奏。必ず立って練習してください。座って演奏するのは不自然なのです。」どのオーケストラも座ってヴァイオリンを演奏していると思います。でも基礎訓練は立って行うのです。レッスンも今まで受けたどの先生もレッスンは必ず立奏でした。

ちなみに、動きながら歌うとうまく声が出ないとのことですが、どの程度の動きでしょうか。激しいダンスをしながら歌うのは、やはり大変です、というか無理です。今はどうかわかりませんが、一世を風靡した「ダンスをしながら歌うグループ」が口パクであるというのは業界では常識でした。(♭∴)

 

A. ステージで動くパフォーマンスがしたいのでしたら、動きながら歌う練習を必ずしましょう。いきなり本番だけ動いてうまく歌おうというのは虫のいい話です。

レッスンでよく言われる「いい姿勢」は基本です。いい姿勢というのは、呼吸と発声に都合のいい姿勢のことです。もし動いていても呼吸と発声がうまく機能するのでしたら、基本から逸脱しても問題ありません。動いていいのです。むしろ動くことによって余計な力みを手放すことができます。

しかしいきなり激しいダンスをしながら、あるいは走り回りながら歌うのは難易度が高いです。まずは身体をゆらしながら、ゆっくり歩きながら、椅子に座ったり立ったりしながら、ステップを踏みながら等で、動きながら歌うことに慣れて、それから大きな動きに挑戦するのがいいでしょう。掃除機をかけながら、洗い物をしながら等もおすすめの練習方法です。不規則な動きと発声を組み合わせる練習になります。

また、ジャンルにもよりますが、直立不動で歌っても構わないのです。ラジオ唱歌が盛んな時代は動かずに歌う歌手が主流でした。ストイックに歌だけを届けるというのも潔くていいと思います。(♯∂)