発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.声は他の人より出るのですが、どうも歌う声がよくありません。ヴォーカリストに不向きなのでしょうか。

A. 生まれついての声など、何万人に一人の美声でもなければ関係ありません。人が感動し、賞賛するだけの価値を、声や歌につけられるかどうかです。向き不向きではなく、チャレンジする資格、やれる方向は誰にでもあるのです。

声は、自分の身体を楽器とします。ですから、充分な声を出すためには、プロとしての楽器としての強い身体、高い集中力のあることが欠かせません。その上で、声を充分に生かし切れるように使いこなさなくてはなりません。自分の声が気に入らなくても、そこに自分の個性を見つけ、その声を活かす方向で伸ばしていきましょう。

ヴォイストレーニングは、自分のベストの声を出すための探究と鍛錬なのです。嫌な声が発声の理や使い方からそれていたり、磨かれていないためなら、トレーニングしていく。それでも好みに合わなければ、どうするか。私はやはり持って生まれたものを最大限生かす、つまり、オリジナリティを選びたいものです。しかし、日本人はやはり横並び、自分にないもの、あこがれた人のものを求める場合が多いようです。もちろん、最終的には、本人が決めていくことです。ただ、よい声が出せるというだけの人なら、大勢いるのです。(♭π)

 

A. 声が他の人より出るのならば、ヴォーカリストへの道は、他の人よりも少し前に進んでいるといってもよいでしょう。ただ、歌う声がよくないのならば、そこをうまく改善していけばよいということです。ここで、よく問題になるのは、今現在のあなたの声への固執具合です。現在の声を獲得するのに、少なからず努力をしていて、無意識でも、今の声をあまり変えたくないと思っていると、なかなか声の改善は進みません。逆に、こんな声が好きだという理想があれば、時間はかかっても、必ず声は変わっていきます。あきらめずに方法を探していきましょう。

実際に、声のよいヴォーカリストは、世の中にそれほど多くはありません。多分、1割程度でしょう。多くのヴォーカリストは、声はイマイチでも、他に魅力があったり、営業などの努力の賜物だったりします。そもそも、ヴォーカリストは、よい声を聞かせるのも重要なポイントですが、それ以上に、感動的な歌を演奏することが一番の目的になります。

とはいえ、声の技術が高い方が、いろいろなことが可能になるので、感動的な歌への道も近くなります。声が他の人よりよく出るのなら、さらに歌う声のトレーニングをしっかり進めて、ご自分が望む声をめざしていきましょう。

(♭Ξ)

 

A. 歌う声がどうよくないのか、もう少し具体的な情報がほしいところです。一般的にいえることは、どんなに美声でも、どんなに声量があっても、音程が全く取れない・身体が弱い・発声的な技術の向上が見込めない(努力しない)、といったような理由がある場合には、仕事としてのヴォーカリストは不向きだと思います。たとえば趣味としてカラオケを楽しむ、友人とバンドを組んでヴォーカリストをする、地域のイベントに参加して歌うということであれば、上記の理由はあまり気にせずにぜひ歌うことを楽しんでいただきたいです。もしプロのヴォーカリストをめざしているとしたら、他の人より声が出るという比較は、歌の上達には何の役にも立ちません。歌声を磨くには、地道に基礎的な練習をしていき、しっかりと身体を使えるようになることです。喉声は変化のしようがないですが、身体を使って歌えるとその歌声に響きが乗っていきます。(♯α)

 

A. 声が出るのであれば、出ない人よりもアドヴァンテージがあると思います。おそらく、問題となるのは扱い方ではないかと思います。自動車にたとえたとして、声が他の人よりも出るということであれば、エンジン(ハイブリッド車やEVならば、モーターおよびバッテリーを含め)の性能や出力が、スポーツカーや高級車に搭載されているもののようにありあまるエネルギーを出すことができるもののように思います。ただし、運転する人間の技量であったり、極低速域から高速域までの緻密な制御が可能な状態でなければ、実用的ではなくなってしまうと思います。

話題を声と歌に戻すと、歌は繊細な制御も必要となることが多いので、いくら声が出るからといって、何でもかんでも出せ出せで歌っているばかりでは、乱雑になりすぎてしまうと思います。現状がどのようになっているかは実際に聞いてみなければわかりませんが、強弱でいったらp(ピアノ)やpp(ピアニッシモ)などの繊細な表現もできる状態にトレーニングしてみてはいかがでしょうか。先に申し上げたように、声が出るということはメリットです。それをどう活かしていくかがカギだと思います。(♭Я)

 

A. 声量がおありということでしょうか。歌は声の大きさもさることながら、やはり表現力が重要になってくると思います。ご自身で歌う声がよくないと思われているようですが、世の中の歌手を見渡してみますと、演歌やポップスやジャズのジャンルでは、決して歌声がそれほど美しいわけではないのに、なんなら、とてもしゃがれた声や、怒鳴り声でありながら、人々を魅了してやまない歌い手が多くいます。どんな声でも味になるのでしょう。そして、その歌にどんなスピリットがこもっているか、その曲の心をどう表現するか。そのお気持ちがあるなら、歌手に不向きなどということは決してないと思います。その人にしかしてこなかった経験を通して、その人ならではの表現が可能になると思います。曲の内容を深め、自分なりの解釈や表現方法で、どんどん歌われてはいかがでしょうか。(♯β)

 

A. 声がよく出るというのは大きな強みです。人によっては声量を確保するだけで長い時間を要しますから、まずその資質は誇ってよいでしょう。ただ「よく通る声」と「美しい声」「歌として魅力のある声」は別の問題です。歌声の魅力は、発声の仕組みや共鳴のコントロール、言葉との結びつき、そして音楽的な表現力によって大きく変わります。ですから現時点で「声がよくない」と感じるのは、ヴォーカリストに不向きだからではなく、まだ声の素材を磨ききれていない段階と考えるべきです。

歌声は筋肉の使い方や呼吸法、姿勢によって大きく改善します。とくに「自分の身体を楽器にする感覚」をつかむことが重要です。共鳴腔を意識して響きを前に集める練習や、発音を明確にする訓練は即効性があり、声質の印象を変えてくれます。また、表現したい音楽のイメージを強く持ち、それを声に託す意識をもつと、声そのものが生き生きとしてきます。

したがって「不向き」ではなく「伸びしろが大きい」と考えてください。声量に恵まれている分、基礎を整えれば必ず魅力的なヴォーカルになります。焦らずに、声を育てるプロセスを楽しんでください。(♭∴)

 

A. 日本を代表するレベルの芸人さんや声優さんでも、歌は、からきしダメだという方が何人か思いあたります。むしろそのことを笑いに変えているので逞しささえ感じます。

しかし彼らが本当に歌う能力に欠けているのかというと、そうではない気がします。歌に時間を割く必要がなかっただけではないでしょうか。歌なんか歌えなくても、本業で大成功しているならそれでいいのですから。

一方、優れた歌い手がボソボソ、ヒソヒソと聞き取れないような声で話すのも高い頻度で見かけます。きっと歌うとき以外はサボっているのでしょう。しかし彼らは必要とあらば舞台上で見事にセリフをいってのけたりします。やっぱり普段はサボっているのでしょう。

私は究極はしゃべる声も歌う声も同じ軸の上にあると考えています。しかしはじめからそうだとは思いません。別々の方向で鍛錬し続けたものが、最終的に同軸に収斂していくのだと感じています。

今あなたはしゃべる声についてはうまくいっているものの、歌うための修練がまだ足りていない状態なのだと思います。

しゃべることと歌うことの大きな違いは、ひとつは声の持続時間の長短、ひとつは使用音域の違いです。陸上競技にたとえると短距離走長距離走、幅跳びと槍投げのように、異なる種目をするような感覚ですらあります。

要するに、やりたい競技に特化したメニューがあること、そして基礎となる筋肉は共通していることを理解して取り組めばいいのではないでしょうか。片方はいずれ他方の役に立つ日がきますが、はじめから両方ヒョイヒョイできるわけではない、ということです。(♯∂)