発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.声をキンキンと響かせて歌っている人は、好きではありません。声はどうして響かすのでしょうか。

. 声も、声帯だけでは、喉頭原音と呼ばれる、鈍い音にすぎません。これが響いて、話し声や歌う声となるのです。響くことは、声を伝えるときには、なくてはならないものです。

音は空気中を伝染するのですから、声の響かせ方は、重要な要素となります。声量のコントロールや歌のメリハリを決めていきます。この響きを邪魔して活かしきっていないなら、もったいないことです。

声がキンキンと響いている人は、首から上だけで歌っている、多くは頭(顔)の方だけに無理に響かせているからです。自分には、響いているのが快感でも、浅く広がった響きは、マイクに均一に入らず聞き苦しいし、ことばが聞きとりにくくなります。日本の声楽家の歌い手にもみられます。

響きがうるさくない人は、深い声で柔らかく扱っているからです。大音量で聞いてもうるさくないヴォーカリストがすぐれているのです。

声のまとまり、声の焦点をイメージしてください。つまり、どんな声量のある声もそこに一本の線がみえ、その動きがみえ、それが働きかけなければ、歌は伝わらないのです。(♭π

 

. 無理に響かせる必要はありません。ただ、クラシック音楽の声楽では、マイクを使わないので、響かせるほうが聞こえやすく有利です。また、昔のマイクは、今のように性能がよくなかったので、キンキン響く声でないと、マイクに入らなかったりしたので、どうしてもキンキンした声が有利でした。

マイクの性能がよくなった現代では、クラシック以外のマイクを使う分野で、声が大きいことそのものが、必要がないようにも感じてしまいます。しかし、マイクのない環境ではどうでしょうか。通常はマイクを使って歌っているアーティストが、たとえば避難所生活をしている人達の慰問活動で、マイクのない体育館などでは、本来の演奏ができないのは、残念なことでしょう。声は、少しでも響かせられる方が、歌う人間にとっては、有利なのです。また、響かせる種類は、キンキンだけではありません。クラシックでは、ビロードのように、あるいは雲のように、柔らかく空間すべてを埋め尽くすように響かせる声もあります。いろいろな響く声を体験するのも楽しいことですが、それを獲得していくことも、本当に楽しい体験です。そして、響く声を手にすることで、表現の幅が大きく広がることは、確実です。(♭Ξ

 

. どんな歌い方が好きと感じるのかは、あなたの自由です。また、あなたが趣味で歌うだけなら、声の響きは気にせずに歌っていても問題はありません。ですが、もしあなたが人前で歌うことがあるとしたら、声の響きは必要不可欠です。響きがなければ声の輪郭はぼやけてしまい、歌声が聞き手に届かないからです。

たとえば、どんなに大きな声を出したとしても、響きが落ちた声だと遠くには飛ばないのです。「側鳴りの声」と言って、歌っている本人や近くにいる人には大きく聞こえても、離れた人にはむしろ小さく感じます。一方で、響きの乗った声であれば、ピアニッシモで歌ったとしても客席の後ろまで声はちゃんと届きます。

もちろん、声の響きは聞き手のためだけではありません。歌い手にとっても、響きのない声で歌うことは、喉に余計な負担をかける要因となるので好ましくありません。響きが乗らないと、一般的に人は声が出しにくいと感じるため、いつも以上に声を押してしまうのです。発声的に適した状態で歌うと、自ずと声に響きはのるものです。つまり、声に響きが乗らないときは、なにかしら改善する余地があるということです。(♯α

 

. 正しく響かせることができれば、倍音が含まれやすい音になるので、キンキンとした耳障りな音ではなく美しく輝かしい音色に聞こえる歌い方ができるはずです。キンキンとした声に聞こえるような歌い方というのは、どこかで無理をした余分な力みを伴った不自然な歌い方になっている可能性が考えられます。喉だけに頼った苦しそうに聞こえる歌い方になっていないでしょうか。それは本当の響きを得た歌い方とはかけ離れています。

充実した響きを得た声というのは、必要な支え以外は力まない声であるはずです。力んだ声というのは、その不自然さからノイズの発生源となってしまうのです。本当に上手な声楽家ほど、力むことや音を捕まえることをひどく嫌います。そして充実した声で不自然さを感じさせずに自然の延長線上で共鳴した声となり、それが本来の響きのある声となるはずです。共鳴を正しく理解して、歌う側も聞いている側も幸せになる響く声を手に入れられるとよいですね。(♭Я

 

. 私もキンキン声は好みではないです。しかし人それぞれ持って生まれた声も違えば、好みも違えば、与えられた役割も違います。可愛いアイドルという役を演じなければならない人は、どうしても高い声を求められてしまうのかもしれません。不本意ながらそのような声を出しているのかもしれませんね。

またジャンルによっては、マイクなしで歌うクラシックは、オーケストラを飛び越えていくような声が求められ、キンキンまでいかなくとも、骨格によく響かせる金属的な響きを作る必要があります。マイクで歌えるジャンルなどは、キンキンさせなくてもいいのかもしれませんね。

しかし、響きの調和を考えると単にキンキンした声でも、暗い声でもよくないのです。いろんな要素の響きが混ざり合っていることが、美しい音につながります。是非、明るい声=キンキンの要素と暗い声=深い響きを同居させるように意識してみましょう。(♯β

 

. 声を「響かせる」というのは、大きな声を出すことではありません。身体の中の空間(口の中や喉の奥など)を使って、無理なくよく通る声を作ることです。喉だけでがんばって出した声は、すぐに疲れてしまい、音も固くなります。

ただし、「キンキンした声」はよい響きではありません。高い音を無理に出そうとして、息の支えが弱くなると、音が浅くなり、耳に刺さるような声になります。これはバランスが崩れている状態です。

よい響きの声は、やわらかくて安定しています。しっかり息を流しながら、身体全体を使って自然に鳴らすことで、遠くまで無理なく届きます。聞いている人には、「うるさい」とは感じず、「よく通る声」に聞こえます。

ですから、声を響かせる目的は、大きくすることではなく、楽にきれいな声を出すことです。力で押すのではなく、息と身体の使い方を大切にしましょう。(♭∴

 

. 小柄な女性に多いですね。声帯の大きさは概ね身長に比例するので(例外も多々ありますが)、小柄な女性は声帯が薄く短い傾向にあります。また、共鳴腔の容積が小さく、口から咽頭までの距離が短い場合が多いです。こういった先天的な要因があると、声が頭蓋骨や鼻の前方にダイレクトに当たりやすいため、硬い音色のキンキン声になりやすいです。

生来のものはしかたのないことですし、それが魅力になる場合もありますが、気になるようでしたら発声技術で緩和することは可能です。

あくびの練習などで口腔内を柔軟に大きく使えるようにしたり、咽頭を下げて使う訓練をすることが有効です。これは筋肉の使い方の問題なので日々の練習が必要です。

さらに、キンキン声の人はイ・エ母音が優勢になりがちですので、ア・オ母音で口の奥側を使うことを意識してみましょう。まろやかな声に近づくはずです。(♯∂