A.フレーズとは、一息で言うまでの間、ブレスとブレスとの間を示します。音楽では音楽的にまとまった一つの群を示します。フレーズのつながりによって音にさまざまな表情が出てきます。この場合のフレージングとは、音楽的に聴かせられる音の流れをつくることだと思ってください。つまり、歌の節や節まわしのことです。
[フレーズの入り方(歌での声立て)]
早めに出るのも、ためがあってからバーンと出る場合も、あらかじめ描かれた円の流れの中でなめらかに合流するような感じにします。決して突発的に声にしないことです。前のフレーズでの声の切り方に対して、もっともよいタイミング、声量、声質で次のフレーズに入るのは、簡単なことではありません。
日本人は、ゆったりと出だすことが多いようです。ずり上がりは避けましょう。今の歌では鋭さが欠かせません。そこに音感、リズム感、声質が瞬時に出るのです。私のイメージでは、ためて、息が出て声が導かれる感じで瞬時に入ります。
[フレーズのキープ]
直線的に、棒のようにひっぱらないように注意します。統一した響きの線でライン(円)を描くようにします。やや強めていってもよいのですが、変に揺らさないことです。力でなく、呼吸でアクセルを緩める感じです。
[フレーズの終止]
フレーズの終止は、徐々に声を消し込んでいくのが基本です。そこで振るえたり、揺らしたりしてはいけません。すべての息を使いきるようにしてしまうと、息の支えがなくなって声がふらつきます。中には、急に止める(切る、カットアウト)場合もあります。しかしこの場合も、口先でなく、体で切ることが大切です。どちらであっても、流れの中で放す感じで、軽く響きも(胸中から鼻の線上に)残り、声は消え入っても、動きがバタと止まってはなりません。声の切れるところは、聴く人の耳に残る大切なところです。もちろん、次のフレーズの入るところを踏まえて放します。