発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

02.呼吸

Q.重心や体幹と腹式呼吸は、また別なのですか。

A. 腹式呼吸にとらわれることは、本来はおかしなことです。全身で呼吸をコントロールする感覚を磨き、それに関係する筋肉を鍛えるように考えてみてください。

Q.歌うのに息吐きばかりしていてよいのでしょうか。

A. 歌唱の鍛錬になるということとは、違います。 それでも、たくさんの呼吸を早くできるようになれば、トータルとしては腹式呼吸のトレーニング、いや、呼吸の強化トレーニングとなり、歌唱と結びついてきます。 結果オーライということです。

Q.お腹にぐっと力が入るような感覚と呼吸を意識的に結びつけられないのですが。

A. 普段、声を喉や顔のほうで意識している人が多いので、わざと不安定な姿勢で重心などを意識させるようにして、深い呼吸を教えている人もいます。

Q.呼吸法で即効果が出たのですが、そんなに変わりますか。

A. 呼吸が深まり、余分な力が抜けて、リラックスしたら、これまで経験のない方ほど大きく変わります。ただ、次のプロセスに結びつくかは、また別ですが。

Q.女性は、妊娠があるから胸式呼吸が中心なのではないですか。

A. そういう説明も、長くなされてきましたが、妊娠をしてお腹が膨れてからそうなることはあっても、それまでの生活においては関係ありません。出産のためには、日ごろから腹式呼吸に重点をおいて意識していくとよいでしょう。

Q.腹式呼吸で発声は大きく変わりますか。

A. これまでお腹からまったく声を出せなかった人を除けば、それほど変わるものではありません。しかし、コントロール力と声量、ロングトーンなど、歌に必要な力はつくでしょう。

Q.お腹から声を出すということは、どうでしょうか。

A. 昔からの日本人の直感的な言い回しです。イメージとしては、お腹から声を出すという方が、大ざっぱですが、わかりやすいかもしません。また、直感的に、そのように声がでているかどうかというのは、意外と正しく判断できるのではないでしょうか。

Q.胸式呼吸でなく腹式呼吸を使うことが正しいのでしょうか。

A. 腹式呼吸と胸式呼吸は、わけられません。しかし、腹式呼吸をうまく使えない場合に、胸式呼吸だけを使っているというとわかりやすいので、そのような教え方がはびこっています。

Q.女性は腹式呼吸が苦手というのは本当でしょうか。

A. これは昔からいわれてきたことですが、性差より、そこまでの声の使い方や生活習慣に根ざしている方が大きいと思います。男性に比べて、大きな声で叫ぶ声を女性はあまり使わないできたために、そのようになっていたということです。

Q.横隔膜で声を出せといわれて、大きな声が出るようになりましたが、それを歌の発声と考えてもよいのでしょうか。☆

A. まず、大きな声が出ることと横隔膜で声を出すということが、どこまで直結するのか、また、それと歌の関係について、です。関係はしていますが、分けて考えることがよいと思います。

Q.そもそも横隔膜で声を出すというのは、何なのでしょうか。

A. これは、説明をしなければいけない必要が出てきて、胸式呼吸に対して腹式呼吸ということで出てきたことばでしょう。横隔膜といっても、そこだけを意識的に動かせるわけではありませんので、このイメージが強いとかえって誤解してうまくいかないことにな…

Q.歌唱の呼吸は、横隔膜呼吸だとトレーナーがいいますが、どうなのでしょう。

A. すべてはトレーニングの目的とその効果において、考えるしかありません。その言葉が、どうであっても、正しいとか間違いではなく、そのイメージで、うまく成果が上がればよいし、その言葉にとらわれ、成果を邪魔するようであれば、よくないということで…

Q.呼吸、気など、コツをつかむ、とは、骨をつかむということですか。☆

A. これを造化といいます。本来の自然が内に秘めている秩序ある働きを、取り出すわけです。芭蕉が、「笈の小文」で指摘しました。

Q.「呼吸で歌え」といわれますが、声で歌うのではないでしょうか。

A.これもイメージの問題で、多分、声としての安定性が欠けているから、そのような注意がされるのではないでしょうか。部分的な使い方をするのでなく、全身として使えというようなことが、この場合は、そのような言葉になっているように思われます。

Q.歌うときにどうしても息が足らないと思います。長く声が伸ばせないし、メリハリもつけにくいです。「ぶれている音が多すぎる」と指摘されます。

A.これは、身体能力としての呼吸の機能の不足です。呼吸の能力を強化することがよいと思います。ドッグブレスやロングブレスのトレーニングをしていくとよいでしょう。 あまり詰めずに、1日5分や10分でもいいから、毎日休まずに進めていくと、徐々に、身体…

Q.なぜ、呼吸がおろそかになるのですか。☆

A.それは基礎体力みたいなものだからでしょう。ある程度、歌えるようになると、表現のほうに走ってしまい、身体を使うことをサボり始めるわけです。その方が、客受けがよかったり、いろんなパフォーマンスがしやすいからです。 しかし、結果として、声の力…

Q.肺を胸郭が囲んでいることを、鳥籠のように例えることが多いようですが、どうしてでしょうか。

A.だいたい、呼吸において肺とか胸郭というと、みんな前の方をイメージします。しかし、実際には背中の方にも肺は広がっているわけです。鳥籠とかチューブとか、土管とか、なんとなく、そういう円柱状の筒のイメージの方が、全身を使いやすくなるからでし…

Q.「吸気し肋骨を張ったままに、腹式呼吸で空気を入れたら、その位置を動かさないで」といわれますが、そうすると、うまく声が出ません。☆

A.腹式呼吸や呼気の支えというようなことを教えようとしているのだと思いますが、無理にそれに合わせなくてもよいと思います。 これらは、結果的にできたときに、そのような感覚になることを、感覚から指摘するのがメニュになっているケースです。 人によ…

Q.横隔膜を使ってしゃべるようにいわれましたが、どういう筋肉を使うのでしょうか。☆

A. 横隔膜は、普段、自分で自覚することはできません。声は呼吸をエネルギーに出すわけなので、呼吸をするときに使う筋肉群全般と考えた方がよいでしょう。 横から腹横筋、背骨のほうは多裂筋、下からは骨盤底筋群が支えます。鉄棒などにぶら下がって見て声…

Q. 腹直筋を鍛えるのは、腹式呼吸に逆効果というのは、本当ですか。☆

A. 何事も必要性から判断することが求められます。もし歌唱に必要な呼吸を支えるだけの腹筋がないのであれば、腹筋を鍛えなくてはなりません。 ただ、このような疑問がよくでるのは、以前に、上体起こしのように腹直筋だけを強化することが、腹式呼吸の基本…

Q.声の支えや呼吸の支えや歌の支えなどという人がいますが、それは、お腹で支えるということでしょうか。

A. 横隔膜は、それを支える腹横筋、斜腹筋、脊柱起立筋群などと使われることによって、声をコントロールすることができます。これを支えという人も多いようです。 お腹がそうした筋力で張っている状態をいうわけです。 これについても、あまり、そのように…

Q.横隔膜は肋骨の下にあるのでしょうか。☆

A. 違います。横隔膜は肋骨の内側に位置します。横だけでなく、縦にも長いものです。

Q.腹式呼吸で横隔膜が使われると、なぜお腹が動くのでしょう。

A. 横隔膜の動きによって、その下の内臓に動きが伝わります。するとお腹が動くわけです。もちろん前の方だけでなく、まわり全体が動きます。骨盤にも影響します。

Q.横隔膜も肺のように、まわりの圧力で動くのでしょうか。

A. 横隔膜は筋肉であり、その筋肉繊維が収縮すると位置が下がります。これが吸気です。吐くときには、肺から空気が出されることによって、横隔膜は上がります。横隔膜は、肺と違って自ら動くわけです。

Q. 息を吐くときにも吸うときにも筋肉を使うのでしょうか。

A. 息を吸うときに筋肉を使います。横隔膜も吸気筋です。 息を吐くときは、戻るところでの反動です。弾性が働くのです。

Q.腹式呼吸というよりも、横隔膜呼吸というふうにいうべきなのでしょうか。

A. 横隔膜が動くときには、胴のあたりにお腹の動きが感じられますが、横隔膜そのものが動くことは感知できません。それにこだわると呼吸の動きが歪む可能性もありますので、その言葉がふさわしいとは思えません。横隔膜は確かに動いているのですが、意識的…

Q.横隔膜を下げてという指示は、指導上よくないのでしょうか。☆

A. イメージの言語として使われる場合には、何ともいえません。というのも、相手がその言葉がどうであれ、実際に正しく使えるのであればよいのです。横隔膜が下がることはあっても、下げることはできないので、指示としてはあまり勧められません。肺をふく…

Q.胸式呼吸と腹式呼吸と割合はどのくらいが理想なのでしょうか。

A. 本来、わけることができませんが、歌唱などでは、横隔膜の働きが8割、肋骨の働きで2割くらいでしょう。大きく呼吸をする場合、歌唱などに使うときです。

Q.呼吸のように心臓のリズムを変えられるのでしょうか。

A. 呼吸の速さというのは意識的に変えられますが、心臓の鼓動は変えられません。走ったり、驚いたりしたら、変わりますが、細かいコントロールは、普通は難しいでしょう。

Q.呼吸を司っているのはどこでしょうか。

A. 脳の延髄です。意識的に変えるときには、大脳皮質からの指令がコントロールします。