発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

Q.私の声は固くてツヤがなく、ガサついて、マイクに入りにくいのです。どのようにしたら治るでしょうか。

A. 声の固さは、その人の声の特徴というよりは、声がうまく使えていないために障害をきたしている状態です。声がうまく共鳴していないのです。歌うときになると、不自然な発声に切り替わって、喉をしめつけることもあります。 声を出しすぎたときは、小さく…

Q.本番のことを考えると、数日前から極度の緊張で歌えなくなってしまいます。何か対処法はありますか。

A. 緊張しないようにするのは難しいので、自分は極度の緊張をするのだということを受け入れて、緊張した後でも歌える状態にもっていくことを考えてみましょう。まず本番までの過ごし方が変わらないままでは、今後も同じ緊張を繰り返すことは目に見えていま…

Q.日本歌曲は歌詞も旋律もシンプルなはずなのにうまく歌えません。なぜ難しく感じるのでしょうか。

A. そう感じるのにはさまざまな理由があります。歌の旋律は音が多くある方が難しそうに見えるのですが、実はある程度音の動きがある方がフレーズを歌い進めるのには助けになるのです。逆に派手な動きのないシンプルな旋律は、より一層安定した息のコントロ…

Q.喉が開いてるとは、どんな状態なのでしょうか。

A. 舌がべったりと低い位置で平になっていて、顎が楽に開かれ、軟口蓋が上がっている状態です。

Q.軟口蓋というのは、口の中の大きさを調整するためにあるのでしょうか。

A. 生理的な役割は、ここでは述べませんが、軟口蓋を上げることによって、舌や喉頭が下がります。あくびの状態や飲み込むときの最初の状態です。これを声楽では、基本の状態として練習させます。いわゆる歌唱発声の理想状態です。逆に軟口蓋が下がると、喉…

Q.声楽の場合、どういうメカニズムで、喉頭を高い位置に持ってこないで出すのでしょうか。

A. 胸骨舌骨筋や胸骨甲状筋など喉頭を下げる外喉頭筋で、喉頭の位置を低く保つことができます。甲状軟骨を前に引き出し、輪状甲状筋が声帯を伸ばします。気管や食道も茎突咽頭筋も関係します。

Q.なぜ高い声を出すと、喉頭があがるのでしょうか。

A. 高い声を出すときには、輪状甲状筋(前筋)が働き働きます。甲状軟骨を引っ張って前傾させ声帯が伸びます。すると喉が緊張するわけです。この状態では、喉に力が入り、喉頭を締め付けてしまうわけです。

Q.高い声を出そうとすると喉頭が上がるのが普通ではないのでしょうか。

A. 高い声を出そうとすると喉頭が上がります。それがよくないというのは、声楽の考えであって、世界のさまざまな音楽では、喉頭をあげて高い声を出している場合も多いわけです。 ただし、ヴォイストレーニングで、発声を学んでいくときには、喉頭を下げるの…

Q.外喉頭筋は、発声のときも関係するのですか。

A. 外喉頭筋は、嚥下作用を助けます。喉頭を引き上げ、食べ物を食道に入れます。喉頭を低いところに保ったり、喉を開いた状態に保つのにも、この筋肉が、関係します。

Q.息をしているときの呼吸の量というのはどのぐらいなのでしょうか。

A. 安静にしているときには、わずか0、5リットルにしか過ぎませんが、腹式呼吸などをすると2リットル動きます。全肺気量としては6〜7リットルあり、肺活量が4~5リットルで、吐き切ると2リットルほどの残気量が残ります。

Q.肺の大きさは、左右とも同じなのでしょうか。

A. 肺は右の方が三葉、左はニ葉です。左には、心臓があるからです。重さは500グラムもありません。その底は横隔膜に接しています。

Q.肩甲骨の筋肉について教えてください。

A. 僧帽筋と広背筋が中心です。僧帽筋は首から肩の上部です。肩甲骨を寄せます。荷物を持つのにも使います。 広背筋は、背中の下半分の平たい筋肉です。腕を下げたり、背中を支え、肋骨の動きに関わります。この辺が柔軟ですと、呼吸が楽にできるので重要で…

Q.呼吸に関する筋力というのは、どうとらえたらよいのでしょうか。

A. 胸部に関して、大切なのは、肋骨です。肋骨についている内外肋間筋と、それに関わるさまざまな筋肉です。上後鋸筋は肋骨を上げ、下後鋸筋は肋骨を下げ、背中を広げます。 腰方形筋と肋骨挙筋で、背中を自由にして、横隔膜も動きやすくなります。もちろん…

Q.姿勢のための筋肉とはどういうものでしょうか。☆

A. まずは、椎骨に関係する姿勢筋群です。脊柱を伸ばして支えます。その上に、仙棘筋という脊柱起立筋が、肋骨について、椎骨全体に沿って真っ直ぐに伸びています。直立姿勢の維持のためです。これらが柔軟に動かなくては、肋骨が自由に動かず呼吸が妨げら…

Q.呼吸に関しては、呼吸と直接働く筋肉を考えたらよいのでしょうか。☆

A. 呼吸と直接働く筋肉とともに、呼吸をする器官を支えるような筋肉も関係すると思われます。どこまで学ぶかは、必要に応じて、ですが、例えば姿勢を保つような筋肉も、とても大切です。それは、よい呼吸の前提となるからです。

Q.首の筋肉というのも呼吸に関係するのでしょうか。☆

A. 胸鎖乳突筋という首の筋のような筋肉は、頭を動かすのに働きますが、呼吸の補助筋としても、息をするときに収縮します。 斜角筋も肋骨を支えて、息を吸い込むときに使われます。 その他にも、首の状態を保つような役割では、上位肋骨なども関わります。

Q.腹筋は鍛えなくてもいいといわれるのですが、本当ですか。☆

A. そんなことはありません。腹筋は、呼吸に関わっています。横隔膜の動きとも連動するわけですから、腹筋がとても弱いと、こうしたことがうまくいかなくなります。 ただし、個人差もあれば、使う必要度も個々に違います。スポーツなどで、腹筋が鍛えられて…

Q.呼吸について、いちいち考えなくてはいけないのでしょうか。

A. トレーニングのプロセスにおいて、マスターしていく過程として、意識すべきことです。本来は、こういったことを、日常の呼吸と同じように、無意識で自然とできなくては、とても作品を完全に仕上げることはできないでしょう。つまり、普通の人の日常の呼…

Q.大きな声を長く出そうとするときには、意識するのでしょうか。

A. ここが生理的な呼吸と、声を使うときの呼吸の違うところです。そういうときは意図的に空気を入れ、勢いよく出そうとなりますが、それをコントロールしなくては、大きな声も長い声もうまくだせないのです。

Q.普通の呼吸は、意識していませんが、意識するとしたら、吸うことでしょうか、吐くことでしょうか。☆

A. 身体の原理からいうと、息を吸うことだと思います。息を吸うと、自然にその息を吐くことになるわけです。息を吐くときには全ての筋肉が弾性によって元に戻ると思ってください。これは身体の仕組みからの説明です。 実際には、声を出したり歌ったりすると…

Q.横隔膜で息を吐き、呼吸の支えをしなさいと教えられます。

A. 厳密にいうと、その働きは、横隔膜にはありません。ただ、吐く息をコントロールすることはできます。呼気の支えといわれるゆえんです。

Q.横隔膜も上のほうに向かって動くのでしょうか。

A. 横隔膜は、上には動きません。下向きに大きく動きます。上に動くのは肋骨です。

Q.横隔膜の動きは、どのくらいなのでしょうか。

A. 安静時には、第5肋骨あたりまで動きます。もっと息を入れると、さらに5センチほど下がり、胸骨の下あたりまで動きます。

Q. 横隔膜は何も通さない壁になっているのでしょうか。

A. 横隔膜は、大動脈、食道、大静脈が、貫いています。それらは胸部から腹部へ通っています。

Q.胸骨の内にある胸横筋は、呼吸に関係ないのでしょうか。

A. 胸筋は、第2肋軟骨から第6肋軟骨についています。強く息を吐き出すときには、この筋肉が強く働きます。

Q.背中で呼吸をしなさいと言われましたが、それはイメージなのでしょうか。☆☆

A. イメージです。背中では呼吸ができません。ただし、呼吸の原理からみると、肋骨挙筋は椎骨の横突起から斜め下に伸びて、下の肋骨についています。これが外肋間筋が肋骨を持ち上げるのを補助します。腰方形筋と肋骨挙筋で、背中の下が柔軟に肋骨が動きや…

Q.呼吸のときの肋間筋の働きを教えてください。

A. 外肋間筋は肋骨を上げて胸郭を広げます。胸郭が広がるので、息が入ります。それに対して、内肋間筋は収縮して肋骨を下げ、息を吐き出します。

Q.肋骨は骨なのに、動くのですか。

A. 肋骨そのものが動くのではなく、肋骨を動かすのは、肋骨の間にある肋間筋です。これは二層になっており、外肋間筋と内肋間筋があります。その二層の肋間筋の動きは、それぞれ方向が逆なのです。

Q.呼吸をするときに肋骨を動かすなと言われました。☆

A. それは胸式呼吸でなく腹式呼吸を、というような意味で使われたのだと思います。厳密には間違いです。呼吸をすると、肋骨は動きます。肋骨は下向きに傾いてついています。吸気のときには、持ち上がります。つまり、胸郭が横にも前後にも広がります。胸腔…

Q.肋骨がそれぞれ違っているのは、どういうことなのでしょうか。

A. 上の肋骨は短く平らで円形です。下にいくに従い、少しずつ大きくなり、第7肋骨が最長、そこからまた短くなっているのです。最後の2本は浮遊肋です。横隔膜が動けるように片端が固定されていません。