発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

01.姿勢/フォーム/体

Q.発声するときは、前重心がよいのですか。

A. 以前はそのような指導がオーソドックスだったと思います。声楽分野で、後ろ重心よりは、前重心の方が、声をコントロールする意識がはっきりとします。前方に声を出すことにも集中しやすいからでしょう。普段の発声と異なる共鳴する声に変えるために異な…

Q.肩甲骨はがしは、得たときの状態として絶対に必要なのですか。

A. 絶対というのは、その人の状態がそれぞれ違うので、何ともいえません。ただ、肩甲骨が固まっているよりは、柔軟に動くようになっている方がよいのは確かなことです。 肩こりのような状態はよくなく、鎖骨周辺の筋肉や脇のところの筋肉などが硬くなってい…

Q.声を出すことに、足は、関係するのでしょうか。

A. 声を出すことは全身が関係します。足は上体を支えますから、姿勢の元となるので、極めて重要です。疲れやすい立ち方や姿勢は直した方がよいでしょう。重心のかけ方一つでも、声は変わってきます。

Q. 最も合理的で機能的な姿勢は、どういうものですか。 しぜんに振る舞っている、あるいは、そう見えるものです。

A. それができないから、何らかのトレーニングをするということで、一時的に部分的において、ふしぜんにぎこちなくなるというのはある程度、許容しているのです。 そのままでよいということではないし、同じことをするのであれば、しぜんな状態の方がより望…

Q.ボディービルダーのような筋肉質な身体になると、発声にも有利ですか。

A. 発声のために筋肉を柔軟に使うこととは方向性が違います。腹式呼吸は、腹筋も必要ですが、それよりもむしろ横隔膜、腹横筋などまわりの筋肉との協力が重要なのです。また、お腹の前の方がパンパンに硬くなっているのがよいと思わないでください。必要な…

Q.せりふを言ったり、歌っているときの姿勢を見て、アンバランスに感じたら、どこかおかしいというふうにチェックするように言われました。

A. 最終的に、せりふを演じたり歌唱したりするときには、高度なレベルであるほど、その動きはしぜんに見えるものです。計算された振り付けや演技をすることもありますが、そうであろうとなかろうと、ふしぜんでぎこちない動きは消しましょう。 それは本番で…

Q.人は、太ももで座っているのですか。☆

A. 座るところと接しているのは、大腿骨でなく、骨盤の寛骨です。それは、仙骨と尾骨から脊柱が上に伸びています。

Q.どうしても腕や手の動きがぎこちなく見えます。どのように解決すればよいでしょうか。

A. 部分的に動かしておくとよいでしょう。例えば、指であれば曲げたりのばしたりくっつけたり広げたりする、何かを強くつかんでみたり絞ってみるのもよいでしょう。肘についても曲げたりのばしたり、内側に向けたり外側に回転させたりします。肩甲骨まで柔…

Q.ロックのアーティストのような前かがみの姿勢とか顎を上げて歌いあげるような姿勢はよくないのでしょうか。

A. 感情を表現したり、ステージパフォーマンスで効果と、発声や歌唱の基本的な姿勢というのは、目的が違いますから、必ずしも一致するものではありません。歌唱や発声のスタイルにも個人差があります。 パフォーマンスする表現と発声のところで、その動きが…

Q. 歯並びで、歌唱においての問題は生じるでしょうか。

A. 歯並びは、発音と共鳴に影響を与える場合があります。ビジュアル的にも歯並びを整えることができるのであれば、そうしたいものです。できない場合は、それを踏まえた上で、いろんな対処ができなくはありません。自分の欠点をきちんと自覚すれば、それを…

Q.下顎と言われることばに抵抗がありますが、正しい用語なのでしょうか。

A. 私も、その言葉を使わず、顎(あご)と表記を統一していたことがあります。顎といえば、下顎のことという常識的な判断でした。解剖学的には、下顎が下顎骨のことで、上顎は上顎骨と口蓋骨、硬口蓋全体です。

Q.声を出しやすくするためのいろんな運動や動きがあるように思いますが、どれがよいのでしょうか。

A. どれか1つの運動や動きが絶対的によいということではありません。どんな運動も総合的に効果が現れてくるものですから、例えばラジオ体操でもよいと思います。それを発声や、歌やせりふという場合に、何か足らないようであれば、補助する運動や動きを付け…

Q.スポーツの準備運動は発声にもよいですか。

A. スポーツの場合は、そうした準備運動が直接、成果に結びつきますが、声の場合は、必ずしもそれだけではありません。というより、それは、きっと、そのスポーツをうまく行えるために考えられた準備運動です。それでも何もしないよりは、何でもしてみた方…

Q.優秀なスポーツ選手は、身体も歌うのも有利に整えられていると思いますが、いかがでしょう。

A. 日常的にスポーツをしている人は、声が出やすいとは思います。全く日常的に身体を動かしていない人よりは、うまく出るでしょう。でも、喉を痛めている人も少なくありません。歌となると、それ以外の必要要素もありますので、人によります。

Q.なぜ朝一番には、よい声が出ないのでしょうか。

A. 声は身体から出すものですから、身体が眠っている状態ではうまく出ません。スポーツと同じで、朝に起きて、すぐに好成績を残せる人はいないでしょう。寝不足のときも難しくはなります。

Q.朝に声の仕事があるときは、どうすればよいのでしょうか。

A. こういう場合は、身体を起こすことです。シャワーを浴びたり、柔軟体操したりして、しっかりと意識だけでなく、身体全体を目覚めさせてください。 マッサージやヨーガなど、血流をよくするようなことが効果的です。 呼吸もできるだけ深く長く繰り返して…

Q.ストレッチや柔軟体操すれば、声がうまく出るということでしょうか。

A. 声がうまく出るということが何を意味するのかにもよります。もしストレッチや柔軟体操で声がうまく出るのであれば、それは身体が声がうまく出ることを妨げているような状態にあったということです。

Q.肩甲骨の筋肉について教えてください。

A. 僧帽筋と広背筋が中心です。僧帽筋は首から肩の上部です。肩甲骨を寄せます。荷物を持つのにも使います。 広背筋は、背中の下半分の平たい筋肉です。腕を下げたり、背中を支え、肋骨の動きに関わります。この辺が柔軟ですと、呼吸が楽にできるので重要で…

Q.姿勢のための筋肉とはどういうものでしょうか。☆

A. まずは、椎骨に関係する姿勢筋群です。脊柱を伸ばして支えます。その上に、仙棘筋という脊柱起立筋が、肋骨について、椎骨全体に沿って真っ直ぐに伸びています。直立姿勢の維持のためです。これらが柔軟に動かなくては、肋骨が自由に動かず呼吸が妨げら…

Q.表情筋を鍛えると、声質がよくなるのでしょうか。

A. 直接、そのようなことにはなりません。しかし、表情筋を柔らかくしておくと、身体の中の運動と同じで、声を使いやすくなり、歌いやすくもなるでしょう。表現力として、表情も見られているのですから、伝わりやすくなるのです。

Q.腹筋運動はヴォイストレーニングに必要ですか。

A. お腹が割れるほどの筋トレは必要ないというのが私の見解です。イタリアの現役歌手達に話した際、呼吸のトレーニングなども含めて身体が固まる運動はやりすぎないとしている人たちの方が多かったのがとても印象的でした。しかしトレーニングをしないわけ…

Q.喉頭は発声をするためにあるのでしょうか。

A. 喉頭には3つの働きがあります。気道の最上部にあり、声帯という開閉する弁を持っています。役割の1つは呼吸、もう一つは飲食のときに、閉めて、それが気道に入るのを防ぎます。声帯の振動で声をつくるのは、第3の働きです。

Q.喉頭のなかにある筋肉の働きについて知りたいです。

A. 喉頭のなかにあって、その軟骨についている筋肉は5つあります。声帯の開閉や調整によって声の高さや大きさなどを変えます。 輪状甲状筋は、声帯を長くします。甲状披裂筋は声帯を短くして緊張させます。 後輪状披裂筋は声門を開いて外転させ、外側輪状披…

Q. 前のめりの猫背の姿勢はよくないということですね。

A. 気が張っていないと、背中が丸まって、身体全体が前に傾いていきます。前のめりになったり猫背になるわけです。腰にかかるストレスも増えます。

Q.顎が前に出るといわれましたが、よくないのでしょうか。

A. これは発声だけでなく、生きていくためにもよくありません。ヘッドフォワードポスチャーHFPです。このことによって、首から肩にかけて凝りが出て、偏頭痛が出たり、心身症になることもあります。

Q.欧米人は、正面の顔でなく、横顔で判断できると聞きましたが、本当でしょうか。☆

A. 英語のprofilは横顔を表します。日本語の横顔というのと同じく、実像、特徴をも意味します。ヨーロッパ人は鼻が高く頬が引っ込んでいるので、横から見ても、誰かわかりやすいです。ちなみに、コインの肖像画は、横顔です。日本人を含めたアジア人では、…

Q.日本の食べ物はなぜあんなに柔らかいのでしょう。

A. 欧米では、サラダの野菜も硬く、肉も赤身が多く、パンはグルテンが多く、チーズやハムまで挟み込んでいるため、食いちぎって歯ごたえのあるものです。顎の筋肉が疲れるほどです。それに比べたら、日本の食べ物は、皆、病院食のように柔らかいです。柔ら…

Q.人の喉頭の位置が下がったのはなぜでしょう。☆

A. ニ足歩行の姿勢の発達と咀嚼器官の退縮と考えられています。歯列が小さくなって後ろに下がり、脊柱頸部が直立して頭の真下に位置するようになったことで、その間の咽頭上部が狭くなります。喉頭は頸のなかほどまで下がらざるをえなくなるのです。そうい…

Q.唇の大きさが人種によって違うのはどうしてでしょうか。

A. 唇の持つ役割として、セックスアピールがあります。肌が白いと、小さくとも唇は目立ちますが、肌が黒いと、目立ちにくくなるので、大きくなったと考えられています。寒いところでは、皮下脂肪がなく、寒さに弱い唇は、小さくなったとみられます。

Q.オトガイとはなんですか。

A. オトガイは、頤と書きます。訓読みで、音読みでは、イです。本来は、食べさせて養うことですが、身体の名称としては、下顎の先の突出した部分を指します。顎の先です。ホモサピエンスの特徴です。幅は、男性が広く、女性は狭いです。