28.福島英
A.例えば、若いときは、講演に呼ばれるのは楽しいことで、いろんな人に会えたり、いろんな経験を積んで学べることが多々、ありました。しかし、研究に没頭していると、それは、妨げとなります。刺激となる分によいのですが、続くとストレスになってしまい…
A.自分の思う通りに楽しくやりたいことをやっていたら、まわりの理解も収入も得られて、それで一生、生きていけるという人はそれほど多くはありません。ただ、ほんの何パーセントかそういう人は、確かにいます。 ここでは、それ以外の大半の人に対するアド…
A.それこそ、一般的なことでしょう。生活のために、お金を稼ぐのに行うのは、こなし仕事です。自分の労力のアウトプットです。 自分には大して得られるものはなくとも、アウトプットとして周りの人が喜んでくれることや社会の中で誰かがやらなければいけな…
A.仕事の位置付けがいろいろと分かれていて、状況により違ってくることもあるわけです。よりやりたいことがあると、今、手がけている仕事がつまらなくなったり、時間があいたりすると、つまらなかった仕事がとてもおもしろく見えてきたりすることもありま…
A.私にとってのライフワークとは、自分が興味を抱き、追求し、生涯かけて、深めていくものです。成長していくきっかけとなるものです。必ずしも見返りがあるものではありません。 つまり、人生を自分なりの価値を感じて生きることに直接、結びつきます。
A.生きるためには、自分の能力、専門的な知識や技術を他人に対して、発揮するのが、最も価値が高いように思われます。 ライフワークで、それだけのものを学ぼうとしたり学んできたのですから、それは、本業とも結びついていることも多いです。
A. 世界では、声のことに、それほど悩んでいる人はいないし、あたりまえのように使いこなされています。ところが、日本では、日本人自体が声に出して主張したり、声を張ることをよしとしませんでした。そのためか、国際化が進むにつれ、いろんな面で問題が…
A. 一貫して、私は本人が活動できていたら、それでよいという立場です。 向こうの方から関わっていらっしゃらない限りは、口出しすることはありません。 評したとしても、私どもの関係する人に対しての勉強のヒントや材料の供給ということで行なっているに…
A. 私も相手によっては、自信を持たせるために、言葉では、いろいろと確信的にいうことがあります。しかし、必ず、自分のやり方に疑問を持ち続け、新しいやり方や他の人のやり方を学び続けています。今もキャリアある声楽家や邦楽家と共に行い、自分だけが…
A. 講演とかレクチャーについて述べると、昔は今の3倍ほど早かったと思います。この分野については、あまり知られていなかったので、たくさんの情報を与えなくてはならないと思っていたからです。声そのものを聞かせるために、結構、パワフルだったかもしれ…
A.人を見る、選ぶのは、自分の責任です。自分の自由勝手でも、結果として親や先生や社会が壁となるのは、未熟なときの特権です。肚がなくては、物事は成しえません。
A.私が次に何とコメントするかが、「すべてわかった」と言う人がいます。何を学べたというかにもよりますが、大したものです。
A.スタンスというのは、立ち位置のことです。いろんな意味で使っています。姿勢、呼吸、発声でも、立ち位置としての軸があります。心にもあれば、表現にもあります。狙い、存在意味、存在理由など…。
A.私の論では、ただの一声に集約されるのです。「ハイ」とか「ララ」「ハイララ」で声が伝わらなければ、歌もせりふも伝わらないということくらいです。とても簡単なのに、受け入れてもらいにくいですが…。声の使い方でなく、声そのもの、器の違いというもの…
A.強いたり力の入るニュアンスもあり、あまり使いたくないことばです。でも、それだからこそ心身の必要をはっきりとさせるために、わざと使っています。 「朝鍛夕錬」は、宮本武蔵のことばです。五輪書「水の巻」に有名なことば「千日の稽古を鍛とし、万日の…
A.それで何かができるということよりも、声やヴォイトレの限界を知ること、ひいては、自分の限界を知るためでした。そのことで、自らの可能性や才能の勝負どころもわかるし、自分の本当に好きなこともやりたいこともみえてくる、近づける。それが大切だと思…
A.自分の力と言いたいところですが、自分の力だけで、それなりの物事を成し遂げることはありません。他人の歌を全く聞かずに歌えるようになった人はいません。 しかし、他力本願で自分の努力を怠っていては他の人も認めてくれないでしょう。今あるものを目一…
A.私の知っていること、できること、全てを学びたいという人もいます。しかし、私が示せるのは、自分の使っている声のところで、そのプロセスとても、同じ年月を経ないと、いや、経たとしても伝わるとは限りません。すべてが伝わる必要もないし、同じ年月を…
A.歌い手は、いつの時代でも預言者です。私には、画家やデザイナーよりも、音やことばを扱う音楽家、歌手、詩人は、その先を行くように思えました。売れなくてはいけないというなかでは半歩先に止まり、つまり、わかりやすくなった分、よくなくなりました。 …
A.それは、およそ済んだと思っています。ヴォイトレもヴォイストレーニングも一般の人の知ることばとなりました。これらを説得する努力はしてきたつもりですが、「全てが説明できる」とは思っていません。すべての人に、でなく、すべてのことが、です。 でも…
A.本は、買われたときから、その人にとってどうかということです。本は、原稿の締切り、最終校正の締切り時点で、私の考えは切り取られます。内容が完結するのは、本が刷り上がったり店に置かれる日、読者が手に入れた日ではありません。著者にとっては直し…
A.本質的なことは、言ってもそう簡単に伝わらないけれど、何回もくりかえしていると、感じられるようになります。しかし、接していなければ、避けていては、せっかくのチャンスも活かせません。 誰もが続けていくと固まってくるので、ここでは私がそれをかき…
A.科学的とか客観的とか言わずに、天から自分も含めて観ることは大切です。私たちは思い込みや固定観念の塊です。常に、自分の五感で、事実さえ自分の思いで色付けしてみています。それが判断を誤る原因です。 でも、誤っていることにさえ気づかないのです。…
A.出る息、吸う息、その一つの呼吸の間に生きるということ、命があるわけです。そこを大事にしなくてどうするのでしょうか。曹洞禅の根本道場、永平寺を訪ねたことがあります。なかなかに活気のある寺でした。
A.狭義には、どんなトレーニングも技の習得のメニュを組んでいます。それを心と体が支えています。体の強化、量が質になったところからが技です。それを支えるのが心です。 一流になると心が全てです。相手が誰であっても、自分の力が100%出れば、よい結果が…
A.呼吸、筋反応、歩行、姿勢、表情(特に眼)対人折衝能力などでしょうか。
A.読むよりも、話したり伝えることの仕事なので、できるだけ、すべてに目を通していますが、優先はしていません。とはいえ、自分で完成させてしまい、同じところをくるくる回らないように、自分と相手のために誰よりも語り、答え、残してきました。 記したも…
A.多くの場合は、責任逃れ、つまり、説明した上で合意した上で、なのだから責任はとらない、賠償はしないということに使われているのです。大事に無事にという願望に対して保証をしているのではありません。芸事はコンプライアンスとして、説明できるもので…
A.信じるのは、騙されるということです。唯一絶対と言うなら、他をすべて知った上で、しっかりと判断すべきことですが、すべてを知ることはできません。他の人に聞いたところで同じでしょう。 信頼できる人=信じられる人=騙す人、何でもありです。健康食品…
A.レッスンのなかでのことばゆえに、わかりにくいものもあるのですが、わかりやすい言葉にして空回り、テキストのメニュの音読のようなものになりかねません。二者の間で声やことばが変じるのです。そこにレッスンの活きた何か(ことばだけでなく表現や所作…